1-C-1.当科における顎矯正手術の臨床統計的観察

顎変形症に対する顎矯正手術は, 手術手技や麻酔法の発達, 器具の改良などにより手術成績が向上し, また顎矯正治療に対する患者意識の向上に伴い, 口腔外科領域において重要な一分野となっている. 当科においても1989年より矯正歯科専門医との連携により, 顎矯正手術を行ってきた. 今回われわれは, 当科を受診した顎矯正手術症例について臨床統計的観察を行ったのでその概要を報告する. 対象症例は, 1989年から1999年までの11年間に当科を受診し, 顎変形症の診断の上, 顎矯正手術を施行した33例である. 性別は男性14名, 女性19名で男女比は1:1.4であった. 男性は, 14 名中12名が1...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 10; no. 2; p. 188
Main Authors 右山裕則a, 八木義照a, 太田和俊a, 篠原正徳a, 山部耕一郎b
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 2000
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ISSN0916-7048

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Summary:顎変形症に対する顎矯正手術は, 手術手技や麻酔法の発達, 器具の改良などにより手術成績が向上し, また顎矯正治療に対する患者意識の向上に伴い, 口腔外科領域において重要な一分野となっている. 当科においても1989年より矯正歯科専門医との連携により, 顎矯正手術を行ってきた. 今回われわれは, 当科を受診した顎矯正手術症例について臨床統計的観察を行ったのでその概要を報告する. 対象症例は, 1989年から1999年までの11年間に当科を受診し, 顎変形症の診断の上, 顎矯正手術を施行した33例である. 性別は男性14名, 女性19名で男女比は1:1.4であった. 男性は, 14 名中12名が1996年以降の症例で, 近年においては, 男性患者が増加している傾向にあった. 年齢は最低16歳, 最高52歳で, 平均年齢は, 男性21.6歳, 女性26.2歳, 全体24.4歳であった. 臨床診断別症例数は, 下顎前突症が21例で最も多く, 下顎非対称, 開咬症, 上顎劣成長を伴うものや, アクロメガリー, 唇顎口蓋裂を有するものを含めると28例(85%)であった. 術式別症例数においても, これらのことより下顎技矢状分割術単独症例が28例と最も多く, その併用症例を含めると31例(94%)であった. 下顎技矢状分割術単独症例について近遠位骨片の固定法の違いにより顎間固定期間, 入院管理期間を比較すると1995年までの骨縫合固定群(Wire結紮, 7例)でそれぞれ29.8±2.9日, 27.5± 6.8日, 1996年以降のネジ止め固定群(Screw固定群, 21例)でそれぞれ18.0±5.2日, 24.0±8.6日であり, いずれも短縮傾向を認め, 顎間固定期間において有意差を認めた. 術後合併症は, 下顎技矢状分割術単独およびその併用症例のうち術後評価可能であった27例について, 術後1年以上にわたる下口唇オトガイ領域の知覚鈍麻が15例, 顎関節症状が3例, 術後感染が4例, 後戻りが1例に認められた. 質問 鶴見大歯1口外 石井宏昭 50代を越える症例において特別な検査等配慮を行っていますか. 術中特徴的な所見はありましたか. 回答 熊本大医歯口外 右山裕則 御指摘の50歳代の2症例に関しては, 術中, 特に, 変化ある所見はなかったが, 術後は, 顎間固定期間を若年者に比して長めに施行した.
ISSN:0916-7048