1-C-7.新しいスプリントテクニックを応用した経口挿管下上顎前方歯槽部骨切り術

Wassmund法やWunderer法に代表される上顎前方歯槽部骨切り術は, 上顎前突症や前歯部開咬症, 過蓋咬合の治療術式として繁用されている. 当科では, 咬合確認の観点から経鼻挿管で本手術を行ってきたが, 上顎前歯部segmentの上方移動量が大きい場合には, 挿管チューブの影響でsegmentの上方移動が妨げられることがあった. そこで今回われわれは, 上顎前方歯槽部骨切り術において, 経口挿管下でも咬合状態を確認することのできる新しいスプリントテクニックを考案したので報告した. 方法は, 術前に患者の下顎歯列印象を採得し, 即時重合レジンで下顎の歯列模型を2つ作製, さらにこれらを患...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 9; no. 2; p. 131
Main Authors 原田清, 大倉一徳, 平野泰正, 米澤久信, 盛島聖子, 榎本昭二, 榎本勤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 1999
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Summary:Wassmund法やWunderer法に代表される上顎前方歯槽部骨切り術は, 上顎前突症や前歯部開咬症, 過蓋咬合の治療術式として繁用されている. 当科では, 咬合確認の観点から経鼻挿管で本手術を行ってきたが, 上顎前歯部segmentの上方移動量が大きい場合には, 挿管チューブの影響でsegmentの上方移動が妨げられることがあった. そこで今回われわれは, 上顎前方歯槽部骨切り術において, 経口挿管下でも咬合状態を確認することのできる新しいスプリントテクニックを考案したので報告した. 方法は, 術前に患者の下顎歯列印象を採得し, 即時重合レジンで下顎の歯列模型を2つ作製, さらにこれらを患者の口腔内で試適確認の後, 薬液消毒する. 術中は, 上顎の骨切り終了後に下顎レジン模型を臼歯部で上顎歯列に咬合させ, ワイヤーで固定して患者の咬合状態を再現する. 次に, 固定された下顎レジン模型の前歯部をガイドに上顎前歯部segmentを予定位置に誘導し, 即時重合レジンおよびワイヤーで下顎レジン模型に仮固定する. この状態で, 上顎前歯部segmentを骨接合する. 骨接合後の前歯部の咬合状態の確認は, もう1つの下顎レジン模型を臼歯部で上顎歯列に咬合させることで可能となる. 本テクニックを応用することによって, 上顎前歯部segmentの上方移動の自由度が増し, 経口挿管下にあっても術中の咬合確認が可能になると考えられた. 「質問」奥羽大歯歯矯正 福井和徳 経口挿管を行う場合の上顎前方骨槽部上方移動量をお教え下さい. 「回答」東京医歯大歯2口外 原田清 経鼻挿管される場合術前に上顎のsegmentが予定位置まで上方移動可能かどうか判断するのは難しい. 術前の頭部γ-AX線写真をみて, 下鼻道の広さを確かめる程度で, 実際何mm以上上方移動させる場合に経口挿管が必要になるかは判断が困難である. 当科ではとりあえず5mm以上上方移動させる場合には, 本テクニックを応用している.
ISSN:0916-7048