2-B-35.下顎枝矢状分割術によるオトガイ知覚障害の発生要因について一下顎枝内における下顎管の位置との関連一

顎変形症に対して適応される下顎枝矢状分割術術後の, 下唇, オトガイ部の知覚障害の発現頻度を減らすためには, 下顎枝内を走行する下顎管の解剖学的位置を把握することが重要である. 今回われわれは, 下顎枝矢状分割術術前のCT画像上で, 下顎枝内における下顎管の位置を観察し, 術後の知覚障害との関連を検討したので報告する. 対象は当科において下顎枝矢状分割術を施行された20症例40側とし, CT画像上で, 下顎管から頬側皮質骨までの距離と下顎管が下顎枝内で頬側皮質骨に最接近する位置における髄腔の頬舌幅を計測した. 知覚検査は, ユフ精機社製定量知覚計, 温覚冷覚計, 二点間識別計, 触覚筆を用いて...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 9; no. 2; p. 113
Main Authors 山本麗子, 中村篤, 田中憲一, 秋月弘道, 大野康亮, 道健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 1999
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ISSN0916-7048

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Summary:顎変形症に対して適応される下顎枝矢状分割術術後の, 下唇, オトガイ部の知覚障害の発現頻度を減らすためには, 下顎枝内を走行する下顎管の解剖学的位置を把握することが重要である. 今回われわれは, 下顎枝矢状分割術術前のCT画像上で, 下顎枝内における下顎管の位置を観察し, 術後の知覚障害との関連を検討したので報告する. 対象は当科において下顎枝矢状分割術を施行された20症例40側とし, CT画像上で, 下顎管から頬側皮質骨までの距離と下顎管が下顎枝内で頬側皮質骨に最接近する位置における髄腔の頬舌幅を計測した. 知覚検査は, ユフ精機社製定量知覚計, 温覚冷覚計, 二点間識別計, 触覚筆を用いて下唇, オトガイ部皮膚について行った. その結果, 下顎枝内において下顎管が頬側皮質骨に接近している症例では, 下顎枝矢状分割術術後に下唇, およびオトガイ部の知覚障害が高率に出現する事が判明した. 従って, 術後の知覚障害の発生を防止するるためには術前に下顎枝内における下顎管の位置を明らかにすることが重要であり, 下顎管が著しく頬側皮質骨に接近している症例では, 垂直骨切り術など他の術式の適応を検討する必要が示唆された. 「質問」九州大・歯・1口外 白土雄司 1. 全例にCT撮影をしているのか. 2. 下顎枝の下顎孔付近では, 下顎管がかなりの率で接近していると思うが, 必ず他の術式に変更していますか. 3. 分割骨片(近位骨片)の内面の処理をしていますか. 「回答」昭和大・歯・1口外 山本麗子 1. われわれは, 最近では原則的に術前にCT撮影を行って, 神経損傷の危険性がある場合には垂直骨切り術を施行しております. 2. 接近している症例では, うすいセメントスパチュラを改良した器具で, 皮質骨と骨髄を剥離するようにして神経損傷しないように注意して分割を行っています. 「質問」九州大・歯・1口外 森田正浩 術直後1. (術後2時間, 6時間)での治験は行っているのでしょうか. 2. 消炎のためのステロイドは使用されているのでしょうか. 「回答」昭和大・歯・1口外 山本麗子 1. 術後, 顎問開放する1週間後まで検査は行っていません. 2. 術後のステロイド投与は行っていません. 「質問」佐久総合病院・歯口外 飯野光喜 下歯槽神経障害は下顎小舌付近のみでなく, 下顎角~骨体部でもあると考えられますがいかがでしょうか.
ISSN:0916-7048