B-25.上下顎同時移動術を行った多数歯歯牙欠損を伴う顎変形症の2例
咀嚼障害および審美障害を主訴に来院した, 多数歯歯牙欠損を伴うAcromegaryおよび両側唇顎口蓋裂術後の高度な顎変形症患者2例に対して, Le Fort I型骨切りと下顎枝矢状分割法による全上下顎同時移動術を施行し, さらに術後, 補綴処置を加味してほぼ満足する結果を得た. 今回の2症例を通して, 多数歯歯牙欠損を伴う高度な顎変形症の処置において以下のごとき所見を得た. すなわち, 多数歯欠損のため歯牙要素を含めたセファロ分析は不確実であり, 術前のモデルプランニングで三次元的に上下顎の関係を十分に把握し, 最終補綴を考慮してモデルオペレーションを行うことにより, 手術操作を円滑かつ安全に...
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Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 2; no. 2; pp. 210 - 211 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本顎変形症学会
1992
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Summary: | 咀嚼障害および審美障害を主訴に来院した, 多数歯歯牙欠損を伴うAcromegaryおよび両側唇顎口蓋裂術後の高度な顎変形症患者2例に対して, Le Fort I型骨切りと下顎枝矢状分割法による全上下顎同時移動術を施行し, さらに術後, 補綴処置を加味してほぼ満足する結果を得た. 今回の2症例を通して, 多数歯歯牙欠損を伴う高度な顎変形症の処置において以下のごとき所見を得た. すなわち, 多数歯欠損のため歯牙要素を含めたセファロ分析は不確実であり, 術前のモデルプランニングで三次元的に上下顎の関係を十分に把握し, 最終補綴を考慮してモデルオペレーションを行うことにより, 手術操作を円滑かつ安全に実施することができる. また, 術中, 顎骨の位置決めが困難である反面, 手術不十分な点や若干のズレは術後に補綴処置を加味することで十分にカバーができ, 良好な咬合を得ることができる. 質問 愛院大, 歯, 1補綴 岸本康男 スライドの補綴処置よりみて, 最も咬合し易い位置で左側の咬合の再構築が必要だと思います. どうでしょうか. 外科サイドで外科処置後の補綴処置を行なう場合の注意点がありましたら, お教え下さい. 回答 都立大塚病院, 口腔 田中潤一 術後補綴を行ううえで, とくに注意をしていただく必要はありません. 質問 東医歯大, 歯, 2矯正 本橋信義 2例目の両側性唇顎口蓋裂症例においては, 上顎歯列らの著しい狭窄が残存していると思われますが, 補綴処置について, 特に問題はありませんでしょうか. 回答 都立大塚病院, 口腔 田中潤一 第2症例は他施設で顎裂部の骨移植を行っていますので, 再度上顎正中で分割し側方拡大をすることは避けました. また, 767しか上顎には残存歯がないため義歯(over lay denture)で改復できると思われました. しかし, 上顎前歯部に関しましては歯槽堤形式術の必要を認めれば, 対処したいと思います. |
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ISSN: | 0916-7048 |