4. Apoprotein(a)phenotype:ラクナ梗塞の遺伝的危険因子

脳梗塞による死亡は治療法の進歩により近年減少している. しかし, それが重篤な機能障害や痴呆の原因となることから, 高齢者のQOLを考える上で脳梗塞を予防することは重要な課題となっている. 脳梗塞は皮質枝領域に好発するアテローム硬化性梗塞と穿通枝領域に多いラクナ梗塞に分類される. 特に後者のラクナ梗塞については, 欧米諸国に比べ, わが国ではその頻度が高いことが知られており, それ自身が痴呆の原因となったり, 白質障害がビンスワンガー病等, 脳血管性痴呆の原因と考えられている疾患との類縁も示唆されていることから, その危険因子を明らかにすることで, 脳血管性痴呆全体の適切な予防につながると考え...

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Published in脳卒中 Vol. 21; no. 4; pp. 387 - 390
Main Authors 並河徹, 野津吉友, 朴賢暎, 益田順一, 小林祥泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳卒中学会 1999
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Summary:脳梗塞による死亡は治療法の進歩により近年減少している. しかし, それが重篤な機能障害や痴呆の原因となることから, 高齢者のQOLを考える上で脳梗塞を予防することは重要な課題となっている. 脳梗塞は皮質枝領域に好発するアテローム硬化性梗塞と穿通枝領域に多いラクナ梗塞に分類される. 特に後者のラクナ梗塞については, 欧米諸国に比べ, わが国ではその頻度が高いことが知られており, それ自身が痴呆の原因となったり, 白質障害がビンスワンガー病等, 脳血管性痴呆の原因と考えられている疾患との類縁も示唆されていることから, その危険因子を明らかにすることで, 脳血管性痴呆全体の適切な予防につながると考えられる. しかし現状では, 高血圧, 加齢を除けばラクナ梗塞の危険因子は知られていない. 近年, 双子を使用した疫学的研究により, 白質障害に遺伝的危険因子の寄与が予想以上に大きいことが明らかにされた1). この事は, ラクナ梗塞においても遺伝的危険因子の関与が少なからずある可能性を示唆する. そこで今回, 我々は, ラクナ梗塞の遺伝的危険因子を明らかにすることを目的として, いくつかの候補遺伝子の寄与について患者対照研究を用いて検討した.
ISSN:0912-0726