朝食シリアルが若年女性の腸内菌叢,腸内環境と肌状態におよぼす効果

食物繊維を特に豊富に含む小麦ふすまシリアルとビタミンミネラル類のバランスに優れた玄米シリアルの摂取が腸内菌叢の構成や腸内環境, 肌状態におよぼす効果を検討した. 被験者を3群に分け, それぞれ小麦ふすまシリアル, 玄米シリアル, 通常の食事のいずれかを2週間摂取した. 被験者から採取した新鮮糞便は菌叢構成, 水分含量, pH, 発ガン関連酵素活性, 腸内腐敗産物濃度, 有機酸濃度を測定した. また, 皮膚の弾力, 水分量および皮脂量の測定と皮膚拡大写真の撮影を行なった. 小麦ふすまシリアルの摂取によりEnterobacteriaceaeとStreptococcaceaeの菌数が有意に減少した....

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Published in腸内細菌学雑誌 Vol. 20; no. 2; p. 201
Main Authors 平山和宏, 新井龍太郎, 伊藤喜久治, 井出留美, 武藤志真子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ビフィズス菌センター 2006
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Summary:食物繊維を特に豊富に含む小麦ふすまシリアルとビタミンミネラル類のバランスに優れた玄米シリアルの摂取が腸内菌叢の構成や腸内環境, 肌状態におよぼす効果を検討した. 被験者を3群に分け, それぞれ小麦ふすまシリアル, 玄米シリアル, 通常の食事のいずれかを2週間摂取した. 被験者から採取した新鮮糞便は菌叢構成, 水分含量, pH, 発ガン関連酵素活性, 腸内腐敗産物濃度, 有機酸濃度を測定した. また, 皮膚の弾力, 水分量および皮脂量の測定と皮膚拡大写真の撮影を行なった. 小麦ふすまシリアルの摂取によりEnterobacteriaceaeとStreptococcaceaeの菌数が有意に減少した. 糞便の水分含量は有意に減少し, 正常な状態への明らかな便性状の改善効果が見られた. 排便回数も改善される傾向が認められた. β-グルコシダーゼ活性は有意に上昇し, 腸内腐敗産物は有意ではなかったが減少の傾向が見られた. 玄米シリアルでは腸内菌叢構成や腸内環境への影響は小さかった. 食物繊維を特に多く含む小麦ふすまシリアルは, その豊富な食物繊維が腸内環境を改善したと考えられた. 一方, 玄米シリアルは肌状態を改善したが, 小麦ふすまシリアルの肌への効果は小さかった. 腸内環境の改善と肌への効果との間には相関関係は認められなかったが, 今後これらの特色のある朝食シリアルの長期摂取や組み合わせて摂取することによる効果の検討が望まれる.
ISSN:1343-0882