健常人の結腸におけるレジスタントスターチの作用:がん予防の可能性について

最近, レジスタントスターチ(RS)がヒトの結腸において細菌に利用される唯一の炭水化物として重要視されている. 12名の健常人にアミロメーズスターチ(55.2±3.5gRS/d;高RS食)あるいは可食性コーンスターチ(7.7±0.3gRS/d;低RS食)を4週間ずつ摂取させた. 摂取したRSの約90%が腸管内で消費された;それが腸内で発酵されたことは呼気中へ放出されるH2の増加によって証明された. 高RS食では便の湿および乾燥重量は各々49%と56%増加したが(p≦0.005), 便の水分含量に有意な変化はなかった. 短鎖脂肪酸の便中濃度と1日の総排泄量には食事による差は見られなかった. 高R...

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Published in腸内細菌学雑誌 Vol. 12; no. 2; p. 125
Main Authors Hylla S, Gostner A, Dusel G, Anger H, Bartram HP, Christl SU, Kasper H, Scheppach W
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ビフィズス菌センター 1999
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ISSN1343-0882

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Summary:最近, レジスタントスターチ(RS)がヒトの結腸において細菌に利用される唯一の炭水化物として重要視されている. 12名の健常人にアミロメーズスターチ(55.2±3.5gRS/d;高RS食)あるいは可食性コーンスターチ(7.7±0.3gRS/d;低RS食)を4週間ずつ摂取させた. 摂取したRSの約90%が腸管内で消費された;それが腸内で発酵されたことは呼気中へ放出されるH2の増加によって証明された. 高RS食では便の湿および乾燥重量は各々49%と56%増加したが(p≦0.005), 便の水分含量に有意な変化はなかった. 短鎖脂肪酸の便中濃度と1日の総排泄量には食事による差は見られなかった. 高RS食では腸内菌のβ-glucosidase活性が26%減少した(p≦0.05). 便中の総および2次胆汁酸濃度は低RS食よりも高RS食で有意に低かった[各々30%(p≦0.05), 32%(o≦0.01)]. 一方, 1次胆汁酸濃度にはRSの摂取による影響は認められなかった. 高RS食では便中の総中性ステロール濃度は30%減少し(p≦0.005), 4-cholesten-3-oneは36%減少した(p≦0.05). これらの結果から, RSがヒトの結腸においてがん予防と関連があると考えられる腸内菌の代謝に好影響を及ぼすことが示唆された.
ISSN:1343-0882