PCRによるBacteroides fragilisの腸管毒素遺伝子の検出

Bacteroides fragilisは, 健常人の腸内フローラの約1%を占めており, 腸管毒素原性のB. fragilisは, ヒトや動物の下痢症と関連がある. 分離株の腸管毒素は腸管結紮ループ内液の変化をもたらし, HT-29細胞に対して細胞毒性を示す. われわれは糞便検体からB. fragilisの腸管毒素遺伝子を検出するPCR法を開発した. 毒素遺伝子を含む外側のプライマーにより増幅した後, 遺伝子内部のプライマーにより二次的な増幅を行った. 得られた290bpのDNA断片はサザンブロッティングによりB. fragilisの腸管毒素遺伝子の一部であることが確認された. この方法により...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in腸内細菌学雑誌 Vol. 12; no. 2; p. 113
Main Authors Shetab R, Cohen SH, Prindiville T, Tang YJ, Cantrell M, Rahmani D, Silva J
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ビフィズス菌センター 1999
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:Bacteroides fragilisは, 健常人の腸内フローラの約1%を占めており, 腸管毒素原性のB. fragilisは, ヒトや動物の下痢症と関連がある. 分離株の腸管毒素は腸管結紮ループ内液の変化をもたらし, HT-29細胞に対して細胞毒性を示す. われわれは糞便検体からB. fragilisの腸管毒素遺伝子を検出するPCR法を開発した. 毒素遺伝子を含む外側のプライマーにより増幅した後, 遺伝子内部のプライマーにより二次的な増幅を行った. 得られた290bpのDNA断片はサザンブロッティングによりB. fragilisの腸管毒素遺伝子の一部であることが確認された. この方法により腸管毒性を有する8株のヒトからの分離株と9株の馬からの分離株の毒素遺伝子が検出された. また28株の非腸管毒性のB. fragilis, B. distasonis, B. thetaiotaomicron, B. uniformis, B. ovatus, E. coli, Clostridium difficilleのDNAからはPCR生成物が得られなかった. この方法の感度は1pgの腸管毒素遺伝子または糞便1g当たり100から1,000個のB. fragilisで検出可能であった. 腸管毒素の検出結果とHT-29細胞での細胞毒性の結果には100%の相関が見られた.
ISSN:1343-0882