循環器内科

「あなたが主治医なら, どんな治療がよいと思いますか?」大学生のとき, ドイツの大学病院で実習する機会を頂きました. 日本で実習を終えた内科が循環器のみだったので, なんとなく循環器を選びました. 現地では学生でも採血, サマリー作成等を行い, 自信たっぷりに患者さんに指導する姿も見かけ, 面食らいました. 心不全, 僧帽弁形成術後, 感染性心内膜炎, 心移植後等の方が入院しており, 現地の学生や指導医に「私が採血していいの?」と尋ねたら, 「なぜやらないの!?」と怒られ, 辞書から抜き出したドイツ語を使い, ひやひや採血をしました. 冒頭はそんな私に声をかけてくれた患者さんの一言です. 家族...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 67; no. 5; p. 400
Main Author 原田美貴子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.10.2019
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ISSN0037-3826

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Summary:「あなたが主治医なら, どんな治療がよいと思いますか?」大学生のとき, ドイツの大学病院で実習する機会を頂きました. 日本で実習を終えた内科が循環器のみだったので, なんとなく循環器を選びました. 現地では学生でも採血, サマリー作成等を行い, 自信たっぷりに患者さんに指導する姿も見かけ, 面食らいました. 心不全, 僧帽弁形成術後, 感染性心内膜炎, 心移植後等の方が入院しており, 現地の学生や指導医に「私が採血していいの?」と尋ねたら, 「なぜやらないの!?」と怒られ, 辞書から抜き出したドイツ語を使い, ひやひや採血をしました. 冒頭はそんな私に声をかけてくれた患者さんの一言です. 家族性高脂血症があり心筋梗塞を繰り返した方で, 韓国出身で日本語が堪能でした. ドイツの医療のしくみやドイツ人の考え方について話し, 大学病院を退院後に心臓リハビリを受けた施設に連れていってくれました. 日本との違いが少し理解でき, 周囲と打ち解けるきっかけになりました. 彼は冠動脈の残存病変の治療法を検討中で, 将来わかるようになったら考えてとmedical recordsをコピーしてくれました. その後, 熱心な指導医との出会いから改めて興味を持ち, 循環器内科を選択しました. 残念ながら複雑な冠動脈病変にinterventionするスキルは十分身に付いていませんが, 今なら彼とどんな話ができるだろうと考えます. 脂質管理, 心不全の薬物・device治療, 心臓リハビリと進歩は目覚ましく, 提案できることがあるかもしれません. 一方循環器領域では, 虚血性心疾患, 心筋症, 不整脈等でもまだ解明されていない分野や, 化学療法に伴う心筋障害や成人先天性心疾患等, 医学の進歩に伴い注目される分野もあります. 循環器内科医になり十年経過した今, より疾患の発症や進展のメカニズムに迫り, 治療や管理において患者さんに還元できるような仕事をして行かれたらと思っています. (自治医大平20年卒)
ISSN:0037-3826