自己免疫性膵炎は, 石灰化を呈した後に機能障害を伴う慢性膵炎へ移行しうる

(論文の内容の要旨)【背景と目的】自己免疫性膵炎(AIP)はステロイド治療が奏功し臨床所見, 画像所見, 病理組織学的所見が改善することから急性期の病態と考えられてきた. しかし長期経過において, 通常の慢性膵炎(CP)と同様に膵石灰化を呈する症例が存在することが明らかとなってきた. 我々はAIPの長期経過で一部の症例が膵石を合併し, 再燃, 診断時の膵頭部腫大, 膵頭部のWirsung管とSantorini管両方の狭細所見が膵石形成と有意に関連していることを明らかにした. 従って, AIPは長期経過でCPの画像所見を呈する病態に移行しうると考えられる. しかし, 長期経過でAIPがCPで認め...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 64; no. 5; pp. 308 - 310
Main Author 金井圭太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.10.2016
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Summary:(論文の内容の要旨)【背景と目的】自己免疫性膵炎(AIP)はステロイド治療が奏功し臨床所見, 画像所見, 病理組織学的所見が改善することから急性期の病態と考えられてきた. しかし長期経過において, 通常の慢性膵炎(CP)と同様に膵石灰化を呈する症例が存在することが明らかとなってきた. 我々はAIPの長期経過で一部の症例が膵石を合併し, 再燃, 診断時の膵頭部腫大, 膵頭部のWirsung管とSantorini管両方の狭細所見が膵石形成と有意に関連していることを明らかにした. 従って, AIPは長期経過でCPの画像所見を呈する病態に移行しうると考えられる. しかし, 長期経過でAIPがCPで認められるように膵機能低下を来すか否かについては十分な検討がされていない. 本研究の目的は, AIPがCPと同様に長期経過で膵機能低下を来すか否かを, 膵外分泌および内分泌機能の両面から明らかにすることである.
ISSN:0037-3826