骨髄内機械刺激による痛覚刺激の脊髄への伝達

(論文の内容の要旨)【背景・目的】骨折, 骨髄炎. 癌の骨転移など骨病変を持つ患者は骨の痛みを感じるが, 骨の痛みが起こるメカニズムの詳細は未だに不明である. これまで骨膜が主に骨の痛みを受容すると考えられてきた. しかし, 骨髄内にもAδ線維やC線維が分布していることが示され, 整形外科的手術の操作による骨髄内圧の上昇や骨髄の浮腫が急性痛や慢性痛を起こすとされ, 骨髄内に限局した病変でも痛みが起こることが示唆されている. 以上より, 骨膜だけでなく骨髄内の神経も骨の痛みに関与しており, 骨髄内圧の上昇により痛みを知覚しているという仮説を立てた. 本研究の目的は, 電気生理学的手法と行動生理学...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in信州医学雑誌 Vol. 64; no. 5; pp. 291 - 292
Main Author 石田高志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.10.2016
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:(論文の内容の要旨)【背景・目的】骨折, 骨髄炎. 癌の骨転移など骨病変を持つ患者は骨の痛みを感じるが, 骨の痛みが起こるメカニズムの詳細は未だに不明である. これまで骨膜が主に骨の痛みを受容すると考えられてきた. しかし, 骨髄内にもAδ線維やC線維が分布していることが示され, 整形外科的手術の操作による骨髄内圧の上昇や骨髄の浮腫が急性痛や慢性痛を起こすとされ, 骨髄内に限局した病変でも痛みが起こることが示唆されている. 以上より, 骨膜だけでなく骨髄内の神経も骨の痛みに関与しており, 骨髄内圧の上昇により痛みを知覚しているという仮説を立てた. 本研究の目的は, 電気生理学的手法と行動生理学的手法を用いて骨髄内圧の上昇が痛みを惹起するか, 惹起された痛みは皮膚などへの関連痛を起こすのかなど, 骨髄に由来する痛みの特性を解明し, 骨の痛みのメカニズムの一端を明らかにすることである.
ISSN:0037-3826