4 診断に苦慮した悪性心膜中皮腫の1例

【症例】68歳, 男性. 【主訴】発熱, 息切れ. 【現病歴】2010年9月から, 発熱, 咳嗽が出現し, 近医を受診. 心臓超音波検査で心嚢液貯留を指摘され, 心膜炎と診断された. この際のCT, MRIで, 左房後壁に腫瘤影を認められていたが, 左房内血栓と考えられていた. NSAIDsの内服で症状は一旦軽快したが, 12月に息切れが出現し, 前医を再診. 胸部CTで腫瘤影の増大を認められ, 悪性腫瘍の可能性が疑われた. 当院を紹介受診し, PET-CTを施行したところ, 心外膜に全周性の集積を認めた. 心臓血管外科で開胸心膜生検を施行され, 悪性心膜中皮腫と診断された. 【考察】悪性心膜...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 60; no. 1; p. 39
Main Authors 小林秀樹, 加藤秀之, 吉岡二郎, 戸塚信之, 宮澤泉, 臼井達也, 浦澤延幸, 荻原史明, 後藤博久, 坂口昌幸, 渡辺正秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 2012
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Summary:【症例】68歳, 男性. 【主訴】発熱, 息切れ. 【現病歴】2010年9月から, 発熱, 咳嗽が出現し, 近医を受診. 心臓超音波検査で心嚢液貯留を指摘され, 心膜炎と診断された. この際のCT, MRIで, 左房後壁に腫瘤影を認められていたが, 左房内血栓と考えられていた. NSAIDsの内服で症状は一旦軽快したが, 12月に息切れが出現し, 前医を再診. 胸部CTで腫瘤影の増大を認められ, 悪性腫瘍の可能性が疑われた. 当院を紹介受診し, PET-CTを施行したところ, 心外膜に全周性の集積を認めた. 心臓血管外科で開胸心膜生検を施行され, 悪性心膜中皮腫と診断された. 【考察】悪性心膜中皮腫は稀な疾患であり, 臨床症状は心膜炎と一致するため, 診断に難渋することが多い. 今回, PET-CTが診断に有用であった. 難治性の心膜炎では, 悪性心膜中皮腫の可能性も考慮し, 早期に積極的な検査を施行する必要があると考えられた. 悪性心膜中皮腫について, 最近の知見をまとめて報告する.
ISSN:0037-3826