5 拡張型心筋症に合併した左室内血栓が原因で急性心筋梗塞を生じた1例
症例は28歳男性. 労作時呼吸困難で当院を受診し心不全の診断で入院. 心臓超音波検査でLVDd 7.1cm, LVDs 6.6cm, EF 15%, diffuse severe hypokinesisで拡張型心筋症(以下DCM)を疑う所見であった. カルペリチド・ドーパミン・ラシックスにて加療し, 改善傾向であった. 入院7日目の心臓超音波にて数個の左室内血栓を確認した. 翌8日目に, 嘔気・嘔吐が出現し急性心筋梗塞の診断で緊急カテーテルを施行, 左前下行枝#8の血栓塞栓による完全閉塞を認め, 血栓吸引により赤色血栓吸引され血流は改善した. カテーテル検査後の心臓超音波検査では前日に左室内に...
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Published in | 信州医学雑誌 Vol. 57; no. 5; p. 224 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
信州医学会
2009
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Summary: | 症例は28歳男性. 労作時呼吸困難で当院を受診し心不全の診断で入院. 心臓超音波検査でLVDd 7.1cm, LVDs 6.6cm, EF 15%, diffuse severe hypokinesisで拡張型心筋症(以下DCM)を疑う所見であった. カルペリチド・ドーパミン・ラシックスにて加療し, 改善傾向であった. 入院7日目の心臓超音波にて数個の左室内血栓を確認した. 翌8日目に, 嘔気・嘔吐が出現し急性心筋梗塞の診断で緊急カテーテルを施行, 左前下行枝#8の血栓塞栓による完全閉塞を認め, 血栓吸引により赤色血栓吸引され血流は改善した. カテーテル検査後の心臓超音波検査では前日に左室内に確認された血栓のうち一つがなくなっていることが確認できた. その後は集中治療を行い血行動態は徐々に改善, また抗凝固療法にて左室内血栓は消失した. DCMによる心不全治療中に併発した左室内血栓で急性心筋梗塞を発症した若年者の1例を経験した. 本症例では血栓の出現と消失を心臓超音波で確認することができた. |
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ISSN: | 0037-3826 |