5 胃切除後長期経過してからNST介入となった症例の検討

【目的】 当院では, 2003年4月NST活動開始以来, 206例の患者に栄養サポートを行ってきた. 胃切除後長期経過例では, 種々の特徴的な栄養障害が出現する場合があるといわれている. 今回当施設で介入した胃切除後症例の問題点について検討した. 【方法】 平成15年4月1日から平成19年11月30日までに介入した胃切除後半年以上経過した症例について, カルテを用いて後方視的に検討し, 主疾患, 入院日数, PTEG(経皮食道胃瘻)や空腸瘻造設までの日数, 介入時のBMIとアルブミン, 摂取カロリー, 栄養方法, 転帰などにつき検討した. 【結果】 検討期間の胃切除症例は12例(男性10, 女...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 57; no. 1; p. 55
Main Authors 北原修一郎, 山岸恵美, 渡辺登美子, 池田千鶴子, 池上悦子, 松澤資佳, 林正明, 長田ゆき江, 坂口史子, 小平恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 2009
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Summary:【目的】 当院では, 2003年4月NST活動開始以来, 206例の患者に栄養サポートを行ってきた. 胃切除後長期経過例では, 種々の特徴的な栄養障害が出現する場合があるといわれている. 今回当施設で介入した胃切除後症例の問題点について検討した. 【方法】 平成15年4月1日から平成19年11月30日までに介入した胃切除後半年以上経過した症例について, カルテを用いて後方視的に検討し, 主疾患, 入院日数, PTEG(経皮食道胃瘻)や空腸瘻造設までの日数, 介入時のBMIとアルブミン, 摂取カロリー, 栄養方法, 転帰などにつき検討した. 【結果】 検討期間の胃切除症例は12例(男性10, 女性2)平均73歳(50-93), 入院となった疾患は脳梗塞などの脳血管障害や精神疾患が6例と多かった. 介入時のBMIは平均15.4(11.5-19.9), アルブミンは, 平均2.78(2.0-4.1)で, 平均介入日数は117日(28-474)と長かった. PTEGは5例に勧め, 4例に試み, 3例に施行できた. 空腸瘻造設は, 1例であった. 経管栄養を継続した5症例のうち, 経口摂取へ進められた1例を除いた5例に経腸ポンプを用いた持続注入法を施行した. 経口摂取が進まず, アルブミンが低下し, 貧血が進行した症例には, 後に吻合部癌が発見された. 介入時の摂取カロリーは平均1,101kcal(90-1,670)あり, 必要エネルギー平均1,261kcal(1,100-1,510)にほぼ達していた. 転帰は, 4例が自宅退院, 5例が他院転院, 3例が死亡退院となっていたが, 施設入所はなかった. 【考察】 胃切除後は, 栄養法決定に困難な例が多く, 特に逆流性食道炎に伴う肺炎が死因となっていた. 栄養管理に看護師が必要となるためという理由で, 施設に戻ることができず, 他院へ転院となった症例が多く見られた. さらに, 胃瘻造設術が困難なため, PTEGの適応となるが, 現在は保険適応でないという問題もある.
ISSN:0037-3826