2 軽度意識障害で発症した未破裂前大脳動脈瘤の1例

【症例】72歳・女性.【現病歴】2006年7月,旅行中に行動異常出現.徐々に意識障害出現し救急車で当院搬送された.来院時意識GCS13(E3V4M6),見当識障害を認めた.頭痛・嘔吐などはなかった.頭部CT上,明らかな異常所見は認めなかった.患者は近医で未破裂脳動脈瘤を指摘されておりminor leakageを強く疑った.脳血管撮影で左A1A2 junctionに嚢状動脈瘤を認め,腰椎穿刺を行ったところ血性髄液を確認し,緊急手術を施行した.【手術所見】Pterional appにて手術施行.左A1に嚢状動脈瘤,左A2に血豆状動脈瘤を認め,いずれも血管分岐と無関係だった.瘤周囲に破裂を窺わせるc...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 55; no. 3; p. 149
Main Authors 青木美憲, 根本匡章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 2007
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Summary:【症例】72歳・女性.【現病歴】2006年7月,旅行中に行動異常出現.徐々に意識障害出現し救急車で当院搬送された.来院時意識GCS13(E3V4M6),見当識障害を認めた.頭痛・嘔吐などはなかった.頭部CT上,明らかな異常所見は認めなかった.患者は近医で未破裂脳動脈瘤を指摘されておりminor leakageを強く疑った.脳血管撮影で左A1A2 junctionに嚢状動脈瘤を認め,腰椎穿刺を行ったところ血性髄液を確認し,緊急手術を施行した.【手術所見】Pterional appにて手術施行.左A1に嚢状動脈瘤,左A2に血豆状動脈瘤を認め,いずれも血管分岐と無関係だった.瘤周囲に破裂を窺わせるclotを認めなかった.動脈瘤は未破裂で,血清髄液は,traumatic tapによる出血と判断した.A1動脈瘤胴部はhypothalamic arteryを圧迫していた.各動脈瘤をclip後,hypothalamic arteryへの圧迫が解除された.【考察】本症例の症状は,basal forebrainの障害と考えた.症状出現機序として未破裂動脈瘤の増大に伴いhypothalamic arteryを圧迫し,同血管の虚血を起こしたことが原因と思われた.本症例の様な軽度意識障害患者において未破裂脳動脈瘤の存在を念頭に置く必要性が示唆された.
ISSN:0037-3826