10 腋窩郭清の代用に腋窩照射を施行した症例の検討

乳癌で腋窩に対して郭清の代わりに照射を行うと, リンパ節転移が不明になるため, 化学療法の適応が厳密に決められなくなる. しかし, はじめから化学療法をする, しないが決まっているならば, リンパ節転移を知る必要がなくなる. 一方, 腋窩を照射で治療すれば, 全身麻酔を避けられる, 通院で可能である, 郭清の合併症を軽減できる利点がある. 乳房温存術の適応があり, N-の症例に, 局所麻酔で乳房部分切除をして, 乳房と腋窩に接線方向に50Gy照射する治療を行った. 症例数は63例, 50歳未満が13例, 50歳以上が53例, 腫瘍径2cm以下が13例, 2~5cmが7例であった. 結果は, 5...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 54; no. 2; pp. 97 - 98
Main Authors 石毛広雪, 長尾知哉, 山本亮平, 西澤延宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 2006
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Summary:乳癌で腋窩に対して郭清の代わりに照射を行うと, リンパ節転移が不明になるため, 化学療法の適応が厳密に決められなくなる. しかし, はじめから化学療法をする, しないが決まっているならば, リンパ節転移を知る必要がなくなる. 一方, 腋窩を照射で治療すれば, 全身麻酔を避けられる, 通院で可能である, 郭清の合併症を軽減できる利点がある. 乳房温存術の適応があり, N-の症例に, 局所麻酔で乳房部分切除をして, 乳房と腋窩に接線方向に50Gy照射する治療を行った. 症例数は63例, 50歳未満が13例, 50歳以上が53例, 腫瘍径2cm以下が13例, 2~5cmが7例であった. 結果は, 5年無病生存率95%, 5年腋窩再発率2%(1例), 5年乳房内再発率2%(1例), 5年乳癌死亡率3%(2例)であった. 生存率は優劣は論じられないが, 腋窩制御は文献上とほぼ同じであり, 有効な治療法と考えられる.
ISSN:0037-3826