巻頭言 今後の感染症流行に向けて

今年の話題と言えば, 新型コロナウイルス感染症だろう. 前号の巻頭言でも論じられていたが, 世界が「目に見えない脅威」に怯えている. 1994年に本学会に入会した時, まさか, 自分が巻頭言を書くとは夢にも思わなかった. 1994年当時は, 世界的に新規HIV感染者が急増していた時期であった. 1981年6月に米国で最初の後天性免疫不全症候群(以下, エイズ)症例がCDC(米国疾病予防管理センター)発行のMMWR Morbidity and Mortality Weekly Reportに報告され, 1983年にウイルスが発見されたが, 治療法が確立されるまで「死病」として恐れられていた. 1...

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Published in日本健康学会誌 Vol. 86; no. 4; pp. 139 - 140
Main Author 坂本なほ子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本健康学会 31.07.2020
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ISSN2432-6712

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Summary:今年の話題と言えば, 新型コロナウイルス感染症だろう. 前号の巻頭言でも論じられていたが, 世界が「目に見えない脅威」に怯えている. 1994年に本学会に入会した時, まさか, 自分が巻頭言を書くとは夢にも思わなかった. 1994年当時は, 世界的に新規HIV感染者が急増していた時期であった. 1981年6月に米国で最初の後天性免疫不全症候群(以下, エイズ)症例がCDC(米国疾病予防管理センター)発行のMMWR Morbidity and Mortality Weekly Reportに報告され, 1983年にウイルスが発見されたが, 治療法が確立されるまで「死病」として恐れられていた. 1987年にアジドチミジン(AZT)がエイズ治療薬として米食品医薬品局(FDA)に承認された. 日本国内では1986年に初めて外国籍の女性の感染が報じられ, その県内でパニックが発生した. 翌年には別の県において日本人女性の患者が報告され, パニックが全国に広がった.
ISSN:2432-6712