P-31. 口腔顔面領域における炎症と癌性疼痛の違い

我々が最近開発したWalker256B細胞をラットの眼下部に注入する口腔顔面癌モデルでは, 機械的異痛症や温度痛覚過敏が出現する. しかしながらこれらの痛みは癌が引き起こす末梢の炎症によって二次的に誘発されたものかもしれない. そのため, 我々は口腔顔面炎症モデルと癌モデルの両者において, 抗炎症剤であるインドメタシンの効果と口腔顔面領域の痛み入力部位である三叉神経脊髄路核尾側亜核における神経化学的変化を比較した. 連日のインドメタシンの末梢投与によって, complete Freund's adjuvant注入の炎症モデルにおける機械的異痛症や温度痛覚過敏は大幅に抑制されたが, 癌...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 63; no. 3; pp. 177 - 178
Main Authors 原野望, 小野堅太郎, 日高和美, 稲永清敏, 仲西修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 2009
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Summary:我々が最近開発したWalker256B細胞をラットの眼下部に注入する口腔顔面癌モデルでは, 機械的異痛症や温度痛覚過敏が出現する. しかしながらこれらの痛みは癌が引き起こす末梢の炎症によって二次的に誘発されたものかもしれない. そのため, 我々は口腔顔面炎症モデルと癌モデルの両者において, 抗炎症剤であるインドメタシンの効果と口腔顔面領域の痛み入力部位である三叉神経脊髄路核尾側亜核における神経化学的変化を比較した. 連日のインドメタシンの末梢投与によって, complete Freund's adjuvant注入の炎症モデルにおける機械的異痛症や温度痛覚過敏は大幅に抑制されたが, 癌モデルにおいてはその効果は小さかった. 三叉神経脊髄路核尾側亜核では, 炎症モデルにおいてカルシトニン遺伝子関連ペプチドやサブスタンスPの著名な増加が認められたが, 癌モデルでは変化は認められなかった. これらの結果は, 口腔顔面癌における痛みの大部分が, 癌による末梢の炎症によるものではない事を示唆していた.
ISSN:0368-6833