15.ラット臼歯抜歯後の三叉神経節と抜歯窩における神経ペプチドの発現

最近, 神経ペプチドSubstance P(SP)が骨代謝を調節していることが示された. この研究では, 抜歯窩治癒過程の骨代謝におけるSPの関与を調べるため, ラットの臼歯を抜歯し, 三叉神経節と抜歯窩におけるSP, BDNF, NK1-R, TrkBの経時的発現を観察した. 抜歯後, 三叉神経節のSP, NK1-R, BDNF, TrkB陽性ニューロンの割合は, 初めは減少し, その後増加して3日後に最多となったが, 21日後にはコントロールと同様であった. 抜歯窩では, 7日後に新生骨とSP陽性神経線維が初めて観察され, 14日後まで増加した. 21日後には骨で満たされていた. これらの...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 60; no. 2/3; p. 71
Main Authors 郡司掛香織, 後藤哲哉, 中尾加代子, 木尾哲朗, 小林 繁, 山口和憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 2006
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Summary:最近, 神経ペプチドSubstance P(SP)が骨代謝を調節していることが示された. この研究では, 抜歯窩治癒過程の骨代謝におけるSPの関与を調べるため, ラットの臼歯を抜歯し, 三叉神経節と抜歯窩におけるSP, BDNF, NK1-R, TrkBの経時的発現を観察した. 抜歯後, 三叉神経節のSP, NK1-R, BDNF, TrkB陽性ニューロンの割合は, 初めは減少し, その後増加して3日後に最多となったが, 21日後にはコントロールと同様であった. 抜歯窩では, 7日後に新生骨とSP陽性神経線維が初めて観察され, 14日後まで増加した. 21日後には骨で満たされていた. これらの所見から, 三叉神経節における神経ペプチドの発現と, 抜歯窩治癒過程におけるSP陽性神経線維の再神経支配と骨修復の関連が示唆された.
ISSN:0368-6833