期外収縮後心収縮性-過性振動現象から推定される心筋細胞内筋小胞体経由カルシウム再循環率の温度依存性

「緒言」臨床医学における体温上昇は, 発熱として頻繁にみられる病態であり, 熱中症, 敗血症1, 2)は救急医療や集中治療での重大な疾患で, 悪性高熱は手術麻酔における重篤な合併症である. 一方体温低下は, 凍傷, 偶発性低体温症3)としてしばしば遭遇する. また近年, 頭部外傷例の脳蘇生における脳低温療法4)が注目を集めている. しかしながら異常体温の際の循環管理は極めて困難であり, 温度変化時の循環動態および循環管理法についてはいまだ不明な点が多い. そこで異常体温疾患患者の救命率向上のためには, 温度変化における心筋興奮収縮連関の解明が不可欠である. 従来, 期外収縮後の心収縮性は, 一...

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Published in循環制御 Vol. 25; no. 4; pp. 369 - 377
Main Authors 水野樹, 花岡一雄, 菅弘之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 2004
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Summary:「緒言」臨床医学における体温上昇は, 発熱として頻繁にみられる病態であり, 熱中症, 敗血症1, 2)は救急医療や集中治療での重大な疾患で, 悪性高熱は手術麻酔における重篤な合併症である. 一方体温低下は, 凍傷, 偶発性低体温症3)としてしばしば遭遇する. また近年, 頭部外傷例の脳蘇生における脳低温療法4)が注目を集めている. しかしながら異常体温の際の循環管理は極めて困難であり, 温度変化時の循環動態および循環管理法についてはいまだ不明な点が多い. そこで異常体温疾患患者の救命率向上のためには, 温度変化における心筋興奮収縮連関の解明が不可欠である. 従来, 期外収縮後の心収縮性は, 一般的には単指数関数的に減衰し5-8), 低体温9, 10), 心不全11, 12)などの異常状態での心臓においてのみ一過性交互脈の形で減弱し期外収縮前の定常心拍動の収縮性に落ちつくと考えられてきた. しかし荒木ら13)は, 菅のイヌ摘出交叉灌流心標本14)を用い, 心筋温36℃の心房ぺーシング下で偶発的に発生する上室性心室性期外収縮後の心収縮性増強が定常心拍に落ちつくまでの6心拍について解析し, そのほとんどが一過性交互脈の形で減衰し定常心拍の収縮性に収束する期外収縮後心収縮性一過性振動現象を発見した. さらにイヌ生体内心15)やヒト生体内心16)でも, この期外収縮後心収縮性一過性振動現象が観察された.
ISSN:0389-1844