1. Fibromatosisの一例

症例は72歳女性, 既往歴などには特記すべき事項なし. 某年6月に右乳房のしこりを自覚し, 8月当院を受診した. 超音波検査で右乳房9時方向に4mm径程度のhypoechoic massを認めた. 穿刺吸引細胞診にて陰性判定のため経過観察となった. 同年12月の触診では10mm大に増大していたため針生検が行われ, 脂肪織に及ぶ紡錘形細胞の増殖がみられた. 確定診断のための腫瘍滴出術により病理学的にFibromatosisと診断された. Fibromatosisは乳腺に発生することはまれで, 頻度は0.2%とされている. 肉眼的には不規則な星芒状を呈する弾性硬の腫瘤性病変を形成するため, 触診,...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 62; no. 1; p. 95
Main Authors 遠藤まり子, 櫻井孝志, 石井嗣, 渋谷肇, 内田寛, 吉水信就, 関みな子, 唐橋強, 中島顕一郎, 細田洋一郎, 清水健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2012
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Summary:症例は72歳女性, 既往歴などには特記すべき事項なし. 某年6月に右乳房のしこりを自覚し, 8月当院を受診した. 超音波検査で右乳房9時方向に4mm径程度のhypoechoic massを認めた. 穿刺吸引細胞診にて陰性判定のため経過観察となった. 同年12月の触診では10mm大に増大していたため針生検が行われ, 脂肪織に及ぶ紡錘形細胞の増殖がみられた. 確定診断のための腫瘍滴出術により病理学的にFibromatosisと診断された. Fibromatosisは乳腺に発生することはまれで, 頻度は0.2%とされている. 肉眼的には不規則な星芒状を呈する弾性硬の腫瘤性病変を形成するため, 触診, 画像では悪性とくに浸潤癌が疑われることが多い. 組織学的には既存の乳腺構造を残しつつ間質に紡錘形細胞が増生するfinger-like extensionが特徴であり, 鑑別診断としてはnodular fasciitis, phyllodes tumorなどがあげられる. 文献的検討を加え症例を提示する.
ISSN:1343-2826