13. 倫理的ジレンマを感じた事例に倫理分析モデルを活用し学んだこと
【はじめに】がん終末期の患者を看護する中で倫理的ジレンマを感じることが多い. 今回, セデーションを希望し行った事例に対し, 私達は, 「本当にこれでよかったのだろうか」と亡くなった後も倫理的ジレンマを感じていた. その疑問に対し倫理分析モデルを活用し倫理的ジレンマが何であったのかを明らかにし学びを得たので報告する. 【事例紹介】A氏50歳代女性, 肺がん, 本人・長女・孫との3人暮らし. 【経過】PCU転科時, 疼痛コントロール良好で穏やかに過ごしていた. ADLが低下と共にスピリチュアルペインが出現し, 時間をかけ傾聴した. 呼吸困難感・疼痛増強に対し, モルヒネ増量とロヒプノール+セレネ...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 60; no. 2; pp. 193 - 194 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
2010
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Summary: | 【はじめに】がん終末期の患者を看護する中で倫理的ジレンマを感じることが多い. 今回, セデーションを希望し行った事例に対し, 私達は, 「本当にこれでよかったのだろうか」と亡くなった後も倫理的ジレンマを感じていた. その疑問に対し倫理分析モデルを活用し倫理的ジレンマが何であったのかを明らかにし学びを得たので報告する. 【事例紹介】A氏50歳代女性, 肺がん, 本人・長女・孫との3人暮らし. 【経過】PCU転科時, 疼痛コントロール良好で穏やかに過ごしていた. ADLが低下と共にスピリチュアルペインが出現し, 時間をかけ傾聴した. 呼吸困難感・疼痛増強に対し, モルヒネ増量とロヒプノール+セレネースDIVを使用した. 苦痛緩和が困難となりセデーション開始し4時間後に永眠した. 「このまま生きていても仕方が無い. 」「死なせて欲しい. 」と訴え, セデーションを希望する患者と「どんなことでも話ができる間は眠る方法をとってほしくない. 」という家族に意見の相違があった. 【結果】倫理分析モデルをもとに, 問題を整理・分析した. その結果, 患者への看護は妥当性があったと考えるが, 看護師自身が患者の希望を尊重できていないという思いから「より良い看護を提供していないのではないか」という倫理的ジレンマを感じ悩んでいたことがわかった. 【考察・結語】看護を行う中には様々な倫理的問題があるが, それを一種の違和感として捉え問題を明確にせず終わらせることも多い. 今回, 倫理分析モデルを活用し問題を分析したことは, 何が問題であったかを明確にすることに有用だった. また, こうした討議をもつことは倫理的ジレンマを解決するのみではなく, 倫理的感受性の育成や看護の質を考えることに繋がると考える. |
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ISSN: | 1343-2826 |