1. 人工膝関節置換術後深部感染に対しResection arthroplastyを施行した2例

人工膝関節置換術後に深部感染のためResection arthroplastyを施行した例を2例経験したので報告する. 【症例1】 81歳, 女性. 平成15年2月, 76歳時に他医で左変形性膝関節症に対し左人工膝関節置換術施行した. 術後表層感染を併発し, MRSAが検出された. 洗浄, デブリドメントや持続還流を行い, 一時は細菌培養陰性となるも, 術後4ヶ月で再度MRSAが検出された. VCM局注, 点滴静注やMINO内服にても改善せず, 加療目的に当科紹介となった. 同年7月, 人工関節抜去, セメントビーズ挿入を行い, 約1ヵ月後に人工膝関節再置換術を施行するも, 術後6ヶ月頃から疼...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 59; no. 4; p. 371
Main Authors 武智瑠美, 寺内正紀, 畑山和久, 斎藤健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2009
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Summary:人工膝関節置換術後に深部感染のためResection arthroplastyを施行した例を2例経験したので報告する. 【症例1】 81歳, 女性. 平成15年2月, 76歳時に他医で左変形性膝関節症に対し左人工膝関節置換術施行した. 術後表層感染を併発し, MRSAが検出された. 洗浄, デブリドメントや持続還流を行い, 一時は細菌培養陰性となるも, 術後4ヶ月で再度MRSAが検出された. VCM局注, 点滴静注やMINO内服にても改善せず, 加療目的に当科紹介となった. 同年7月, 人工関節抜去, セメントビーズ挿入を行い, 約1ヵ月後に人工膝関節再置換術を施行するも, 術後6ヶ月頃から疼痛再燃し, Xp上もlooseningを認めたため, 平成17年10月, 79歳時に脛骨側の再々置換を行った. その後経過良好であったが, 14ヵ月後より左膝前面に腫脹を繰り返し, 穿刺液よりMRCNSが検出され抗生剤の内服にて通院加療を行っていた. 3回の入院加療においても感染の寛解・増悪を繰り返したため, 平成19年12月, 81歳時に人工膝関節抜去, 創外固定を行った. 術中組織よりMRCNSが検出され, 術後4週間VCMの点滴を行った. 術後5週で創外固定を抜去し, LLCシャーレとしROMを開始した. 術後8週で長下肢装具を装着し立位・歩行訓練を開始, 術後10週頃にはpick up walkerにて歩行可能となった. その後, 外出・外泊訓練等を行い抜去後約4.5ヶ月で自宅退院となった. 現在術後1年を経過しているが, pick up walkerを用いて歩行できており, 近医にて経過観察中である. 【症例2】 87歳, 女性. 平成13年10月, 80歳時, 他医で関節リウマチにて右膝人工関節置換術を, 平成14年8月, 81歳にて左膝人工関節置換術を施行された. 術後2年で左下腿脛骨結節内側に発赤・腫脹出現し, 切開排膿を施行した. 細菌培養は陰性であり, 創処置にて改善した. その頃より脛骨側のsinkingがみられていた. 半年後にも同症状出現し, 細菌培養は陰性であるものの創閉鎖が得られず, 平成17年3月, 84歳時に精査加療目的に当科紹介となった. 入院し人工関節抜去を予定するも創閉鎖得られたため, 長下肢装具での保存的加療となり退院となった. 前医で経過観察されるも, 時々再発し入院加療にて軽快することを繰り返していた. 経過中に浸出液よりMRCNSが検出された. 徐々に滲出が増え, 脛骨側のlooseningも著明となったため, 平成20年4月, 87歳時に人工関節抜去, 創面固定を行った. 術後2週で創外固定を抜去しLLCシャーレとし, 3週よりROM開始した. 術後5週にて長下肢装具装着下に荷重開始, 歩行器歩行安定し, 術後3ヶ月で退院となった. 現在術後9ヶ月であるが, 感染の再発もなく経過良好である. 【まとめ】 人工膝関節置換術後の深部感染例において, 人工関節抜去を余儀なくされた2症例を経験したので報告した. 2症例とも, 長下肢装具と歩行補助具を用いて歩行できており, 感染の再発を認めていない.
ISSN:1343-2826