4.培養切片を用いた小脳における放射線生物学的効果の検討

【目的】脳培養切片を用いて, 正常な小脳組織における重粒子線およびX線の生物学的効果について検討した. 【方法】生後10日目のラットから小脳を採取し, 培養切片を作製した. この切片に炭素線およびX線を照射後, 標本を作製し, HE及びTUNEL染色を行なった. 【結果】照射後の切片において, 外顆粒細胞層(EGL)の形態異常が認められた. TUNEL染色では, 照射後24時間以内にEGL中のほとんどの細胞が陽性を示した. 12時間後のEGLの異常およびTUNEL陽性率を指標として炭素線とX線を比較した結果, 炭素線による効果が同線量のX線に比べ約1.5倍大きかった. 【結語】発達過程の小脳に...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 57; no. 1; p. 66
Main Authors 吉田由香里, 鈴木義行, 白井克幸, Wael S. AI-Jahdari, 中野隆史, 浜田信行, 小林泰彦, 小澤瀞司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2007
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Summary:【目的】脳培養切片を用いて, 正常な小脳組織における重粒子線およびX線の生物学的効果について検討した. 【方法】生後10日目のラットから小脳を採取し, 培養切片を作製した. この切片に炭素線およびX線を照射後, 標本を作製し, HE及びTUNEL染色を行なった. 【結果】照射後の切片において, 外顆粒細胞層(EGL)の形態異常が認められた. TUNEL染色では, 照射後24時間以内にEGL中のほとんどの細胞が陽性を示した. 12時間後のEGLの異常およびTUNEL陽性率を指標として炭素線とX線を比較した結果, 炭素線による効果が同線量のX線に比べ約1.5倍大きかった. 【結語】発達過程の小脳において炭素線とX線は外顆粒層の形態異常と細胞死を引き起こし, 炭素線のRBEは約1.5であった.
ISSN:1343-2826