2.群馬県における成人のスギ花粉およびダニIgE抗体保有率-10年間における変化及び自覚症状との関連について

近年, スギ花粉やハウスダストによる鼻アレルギー, 気管支喘息の有症者数の増加が, 大きな社会問題となっている. アレルギー性疾患の要因として, 生活習慣の変化, 花粉飛散数の増加等が言われている. 我々は, 群馬県における一般成人のスギ花粉及びダニ特異IgE抗体保有状況を20年間にわたり調査してきた. 今回, 2003年に採取した血清中の抗体保有状況を分析したので1994年の調査結果と比較し, ここ10年間の抗体保有状況の変化を検討した. 【対象及び方法】2003年の(財)群馬県健康づくり財団の健診受診者に対して, 事前に調査内容および目的を含めた説明を行い, 同意が得られた成人3,440名...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 55; no. 3; p. 307
Main Authors 比田井裕子, 畑生俊光, 佐藤久美子, 嶋田淳子, 荒木忠晴, 今井貴子, 茂木文孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2005
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Summary:近年, スギ花粉やハウスダストによる鼻アレルギー, 気管支喘息の有症者数の増加が, 大きな社会問題となっている. アレルギー性疾患の要因として, 生活習慣の変化, 花粉飛散数の増加等が言われている. 我々は, 群馬県における一般成人のスギ花粉及びダニ特異IgE抗体保有状況を20年間にわたり調査してきた. 今回, 2003年に採取した血清中の抗体保有状況を分析したので1994年の調査結果と比較し, ここ10年間の抗体保有状況の変化を検討した. 【対象及び方法】2003年の(財)群馬県健康づくり財団の健診受診者に対して, 事前に調査内容および目的を含めた説明を行い, 同意が得られた成人3,440名について, アレルギーの自覚症状等に関するアンケート調査及び血清中スギ花粉ダニ特異IgE抗体をEUSAにより測定した. また1994年の群馬県農業協同組合の健診受診者3,088人の血清中スギ花粉ダニ特異IgE抗体測定結果を用いて, 抗体保有率の変化を比較検討した. 【結果及びまとめ】2003年の調査におけるスギ花粉特異IgE抗体保有者は38.5%であった. 1994年では33.1%であり, 2003年では明らかな増加が認められた. ダニ特異IgE抗体保有者は, 2003年では16.9%, 1994年では18.9%であり, 2003年と1994年で差が認められなかった. 年齢別の抗体保有状況は, スギ花粉抗体保有者は1994年と比較すると2003年の青壮年層において顕著に増加していた. ダニ抗体保有者については変化が認められなかった. 自覚症状等に関するアンケート結果において, スギ花粉抗体保有者については自覚症状を訴える率が高く, 抗体価がRFU値200以上を示す人の約80%以上で自覚症状を認めた. しかし, ダニ抗体保有者について自覚症状を訴える人が少なかった. 現在, 両抗原と自覚症状との関連についてさらなる検討を行っている,
ISSN:1343-2826