20.Buerger病の長期予後に関する検討

【背景と目的】Buerger病は四肢末梢の主幹動脈の閉塞をきたす血管炎で, いわゆる難病に指定されているが, その長期予後に関する報告は少ない. 今回, 厚生労働省の難治性血管炎調査研究班により全国規模の長期予後調査が行われ, その一環として当院で加療中のBuerger病患者に対してアンケート調査を行ったので報告する. 【対象と方法】当院でBuerger病と診断され, 特定疾患医療給付を受けている患者45例にアンケート用紙を郵送し, 回答のあった25例(回答率56%)を対象とした. 男女比は24対1で, 年齢は31~79(平均65±12)歳であった. 発病および初診時の年齢は各々19~76(平...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 3; pp. 285 - 286
Main Authors 行木太郎, 長谷川豊, 高橋徹, 大嶋清宏, 森下靖雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2004
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Summary:【背景と目的】Buerger病は四肢末梢の主幹動脈の閉塞をきたす血管炎で, いわゆる難病に指定されているが, その長期予後に関する報告は少ない. 今回, 厚生労働省の難治性血管炎調査研究班により全国規模の長期予後調査が行われ, その一環として当院で加療中のBuerger病患者に対してアンケート調査を行ったので報告する. 【対象と方法】当院でBuerger病と診断され, 特定疾患医療給付を受けている患者45例にアンケート用紙を郵送し, 回答のあった25例(回答率56%)を対象とした. 男女比は24対1で, 年齢は31~79(平均65±12)歳であった. 発病および初診時の年齢は各々19~76(平均46±13)歳, 19~76(平均51±13)歳で, 観察期間は2~25(平均14±8)年であった. アンケートの回答および診療録の記録から患者背景, 病変の部位, 重症度, 治療法, 予後について検討した. 統計学的検定にはwilcoxon signed-ranks testを用いた. 【結果】基礎疾患として高血圧を48%, 糖尿病を20%, 高脂血症を24%に認めた. 初診時, 喫煙者は84%(喫煙指数643±452)であったが, 治療開始後はその90%が禁煙した. 病変部位は上肢が2例(8%), 下肢が16例(64%), 上肢および下肢が7例(28%)で, Fontaine分類による虚血の重症度はI, II, III, IV度が各々0, 3, 10, 12例であった. 治療は全例にberaprost, sarpogrelate, EPA等の内服治療が行われ, PGE1製剤の点滴静注が24例(96%), 高圧酸素療法が9例(36%), 交感神経切除またはブロックが23例(92%), 自家骨髄幹細胞移植が4例(16%)に行われた. 調査時の重症度はI, II, III, IV度が各々5, 15, 2, 2例と有意に改善していた. 経過中に手指足趾の切断が6例, 下腿の切断が2例にみられた. 遠隔期死亡は脳梗塞による1例のみであった. 【まとめ】禁煙と種々の治療によりBuerger病の症状は改善するが, 手指足趾や下腿の切断に至る例もあり, 個々の症例に応じた治療法の選択が必要である.
ISSN:1343-2826