15.成人スティル病のステ口イド療法中に合併したサイトメガ口ウイルス肝炎の一例

症例は29歳, 男性. 平成14年6月21日から発熱, 咽頭痛, 関節痛, 食欲不振が出現した. 急性咽頭炎の診断にて抗生剤投与にて治療し, 咽頭痛は改善傾向であった. しかし, その後も40℃の発熱, 関節痛がつづき7月2日外来受診し, 精査加療目的に入院となった. 入院時現症では38.5℃の発熱と肝脾腫を認めたが, 表在リンパ節の腫脹, 皮疹は認めなかった. 各種抗生剤の投与を行ったが改善なく, 培養も陰性であった. EBV, CMVは抗体検査から既感染と考えられた. 骨髄穿刺は正常であり, 画像検査では肝脾腫を認めるのみであった. 抗核抗体, リウマトイド因子, P-ANCAは陰性であっ...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 1; p. 52
Main Authors 滝澤大地, 山崎勇一, 堀口昇男, 仁平聡, 清水直樹, 長坂一三, 吉見誠至, 原田孝, 水間春夫, 富岡眞一, 大野順弘, 高木均, 森昌朋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2004
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ISSN1343-2826

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Summary:症例は29歳, 男性. 平成14年6月21日から発熱, 咽頭痛, 関節痛, 食欲不振が出現した. 急性咽頭炎の診断にて抗生剤投与にて治療し, 咽頭痛は改善傾向であった. しかし, その後も40℃の発熱, 関節痛がつづき7月2日外来受診し, 精査加療目的に入院となった. 入院時現症では38.5℃の発熱と肝脾腫を認めたが, 表在リンパ節の腫脹, 皮疹は認めなかった. 各種抗生剤の投与を行ったが改善なく, 培養も陰性であった. EBV, CMVは抗体検査から既感染と考えられた. 骨髄穿刺は正常であり, 画像検査では肝脾腫を認めるのみであった. 抗核抗体, リウマトイド因子, P-ANCAは陰性であった. 診断基準からStill病と診断し, プレドニゾロン(PSL)による治療を開始した. しかし, PSL抵抗性を認めメチルプレドニゾロンによるパルス療法を施行後, デキサメタゾン(DEX)の投与を行った. 経過は良好であったが, DEXの減量中に関節痛が出現し再度パルス療法を施行した. その後より, フェリチンとトランスアミナーゼの上昇を認め, Still病の増悪も疑われた, しかし, その他の所見には乏しく否定的であり, 薬剤性も疑い中止変更したが改善を認めなかった. 肝生検施行し, 組織学的には急性ウイルス性肝炎が疑われ, 血清学的にCMVの再活性化を認めた. 同ウイルスによる肝炎と診断し, DEXの減量を行い, 肝障害は改善した. 成人Still病は予後良好な疾患であるか, 治療はステロイドが中心となる. 肝障害の頻度は高いか, その鑑別には原疾患, 薬剤だけでなく日和見感染症の考慮も必要と考えられた.
ISSN:1343-2826