14. 家庭内電力計測による老人介護・福祉用生活モニター

急速な高齢化が進む中で, 老人世帯への介護支援は, 人, 物共に十分であるとは言えず, 介護を受ける側の不安も大きい. また, 介護をする側も, 人手不足や金銭的な面での負担が大きいのが現状である. このような状況は, 少子化によりさらに深刻になると考えられる. これに対する支援策を検討することは, 工学に携わる者にとっても重要なテーマである. 本研究の目的は, 老人家庭に供給される電力を家庭のブレーカの位置で観測し, 電流の過渡波形, 高調波振幅, 高調波位相から, 現在家庭で使われている電気機器を自動的に判別できるシステムを構築することである. また, この装置で得られた情報は, 地域の保...

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Published inThe KITAKANTO Medical Journal Vol. 50; no. 5; p. 497
Main Authors 槙野吉晃, 津久井志信, 山越芳樹, 酒巻哲夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2000
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ISSN1343-2826

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Summary:急速な高齢化が進む中で, 老人世帯への介護支援は, 人, 物共に十分であるとは言えず, 介護を受ける側の不安も大きい. また, 介護をする側も, 人手不足や金銭的な面での負担が大きいのが現状である. このような状況は, 少子化によりさらに深刻になると考えられる. これに対する支援策を検討することは, 工学に携わる者にとっても重要なテーマである. 本研究の目的は, 老人家庭に供給される電力を家庭のブレーカの位置で観測し, 電流の過渡波形, 高調波振幅, 高調波位相から, 現在家庭で使われている電気機器を自動的に判別できるシステムを構築することである. また, この装置で得られた情報は, 地域の保健センターや, 遠隔地にいる家族に電話回線や電子メールなどを通じて, 自動的に伝えられる. 現在, プロトタイプの1号機は完成し, 「安心モニター」という名で群馬県渋川市健康保健課の協力の下, 渋川市に在住するボランティアに対して, データの蓄積を行った. 現在, 100時間以上のデータを収集し, 解析を行った結果, それぞれの電気機器による電力変化の特徴が見られることから, その使用状況を判別することができる事が判っている, また, 複数の蛍光管電気スタンドの電力を測定した結果, 蛍光管1本1本の特徴の違いまで判別をすることができる精度をもつことが, 確かめられた. 老人世帯の生活リズムやその乱れを, 日々の生活には欠かせない電力機器の使用状況から高精度に観測をすることができる本システムは, 老人介護や老人保健に役立つだけでなく, 老人に対して周囲から常に温かい目で見守られているという「安心感」をも与えることができると考えられる.
ISSN:1343-2826