11. 上大静脈症候群で発症し甲状腺腫瘍浸潤をきたした前縦隔腫瘍の1例

【症例】18歳女性【臨庄経過】主訴:顔面および頸部の浮腫. 既往歴・家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:2~3週間前から顔面および頸部の浮腫に気づく. 1997年5月8日ごろから急に悪化し, 5月10日に当院を受診し, 胸部X線写真で前縦隔腫瘍が疑われ緊急入院した. 入院時腫瘍マーカー:CEA, AFP, HCG:正常範囲, ESR:87/hr, LDH: 796. 5月21日~7月1日縦隔腫瘍へ60G照射施行し, 腫瘍の消失が認められた. 8月中旬から甲状腺の瀰漫性腫大が認められ, 急速に増大した. 9月10日甲状腺生検施行. 9月24日~10月29日頸部放射線治療50Gy施行. 10月1...

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Published inThe KITAKANTO Medical Journal Vol. 50; no. 5; p. 475
Main Authors 野崎美和子, 古田雅也, 北角嘉徳, 飯室護, 村上優子, 荻野和律, 吉田森一, 小山徹也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2000
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Summary:【症例】18歳女性【臨庄経過】主訴:顔面および頸部の浮腫. 既往歴・家族歴:特記すべきことなし. 現病歴:2~3週間前から顔面および頸部の浮腫に気づく. 1997年5月8日ごろから急に悪化し, 5月10日に当院を受診し, 胸部X線写真で前縦隔腫瘍が疑われ緊急入院した. 入院時腫瘍マーカー:CEA, AFP, HCG:正常範囲, ESR:87/hr, LDH: 796. 5月21日~7月1日縦隔腫瘍へ60G照射施行し, 腫瘍の消失が認められた. 8月中旬から甲状腺の瀰漫性腫大が認められ, 急速に増大した. 9月10日甲状腺生検施行. 9月24日~10月29日頸部放射線治療50Gy施行. 10月14日~12月8日化学療法(CDDP, Etoposide, BLM)3クール施行. 2000年4月無病生存中. (図11-1. 治療開始前, 胸部造影CTで, 前縦画腫瘍と上大静脈内腫瘍血栓を認める. 図11-2. 頸部造影CTで, 左頸静脈内腫瘍塞栓と甲状腺への瀰漫性浸潤を認める. )【病理】検体は甲状線の生検組織で, 正常の濾胞間に島状に増生する胞巣状からシート状配列を示す腫瘍増生が認められる(図11-3). HE染色では特徴的な構造はなく, 免疫染色で腫瘍細胞はAE-1(ケラチン)陽性, LCA陰性であり, 低分化癌ないしは未分化癌と考えられた. Germ cell originの腫瘍の可能性も考え, HCG, HPL等の染色も行ったが陰性であった. 議論の末, 下里先生から胸腺原発の未分化癌との最終診断を得るに至った. なお, 縦隔からの転移経路に関しては今回の生検材料からは明らかな知見は得られなかった.
ISSN:1343-2826