29.腹腔内出血を契機に発見された壁外性胃平滑筋肉腫の1例

腹腔内出血を伴う胃平滑筋肉腫は稀である. 今回, 我々は腹腔内出血を契機に発見された壁外性胃平滑筋肉腫を経験したので報告する. 症例は72歳, 男性. 1997年11月に腹部膨満・めまいを主訴に来院. 貧血と臍上部右側に腫瘤を認め, 腹部CT・超音波で直径約10cmの境界明瞭・嚢胞様の腹腔内腫瘤とDouglas窩にまで及ぶ腹水が認められた. 腹水は血性で, 細胞診はClass IIであった. 胃・小腸あるいは大腸より発生した腫瘍と考え1998年1月に手術を施行した. 約2000mlの血性腹水が認められ, 腫瘍は胃より有茎性壁外性に発育したもので, 腫瘍茎部根部の胃壁を楔状に切除した. 病理診断...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 49; no. 4; p. 310
Main Authors 塩谷恵一, 鈴木英雄, 岩崎茂, 橋本直樹, 関博, 高野晃寧, 綿貫啓, 小池則匡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 1999
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ISSN1343-2826

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Summary:腹腔内出血を伴う胃平滑筋肉腫は稀である. 今回, 我々は腹腔内出血を契機に発見された壁外性胃平滑筋肉腫を経験したので報告する. 症例は72歳, 男性. 1997年11月に腹部膨満・めまいを主訴に来院. 貧血と臍上部右側に腫瘤を認め, 腹部CT・超音波で直径約10cmの境界明瞭・嚢胞様の腹腔内腫瘤とDouglas窩にまで及ぶ腹水が認められた. 腹水は血性で, 細胞診はClass IIであった. 胃・小腸あるいは大腸より発生した腫瘍と考え1998年1月に手術を施行した. 約2000mlの血性腹水が認められ, 腫瘍は胃より有茎性壁外性に発育したもので, 腫瘍茎部根部の胃壁を楔状に切除した. 病理診断は平滑筋肉腫であった. 腹腔内出血の機序としては腫瘍は被膜を有しており, 破綻がみられなかったことより, 腫瘍からのしみだし, あるいは表面の怒張した血管が破綻・出血し自然に止血したものと思われた.
ISSN:1343-2826