19. 石灰化を有する乳癌に対する乳房温存療法

【目的】乳癌のMMGで腫瘤陰影に石灰化を伴うのは良く見かける所見である. 石灰化は乳管内癌の存在を意味することが多いが, 石灰化の存在は温存術を行う上でどのように取り扱ったら良いか, retrospectiveに検討した. 【対象と方法】1996.1から1998.10までに原発性乳癌で手術を行った腫瘤径3cm以下の症例のうちMMGで石灰化を有する16症例を対象とした. 石灰化数の多寡と, 石灰化と腫瘤の位置関係から5型に分類した. 乳房切除標本については1cm, 温存術標本については5mm間隔で病理学的に癌の広がりについて検索し, タイプ別に癌の広がりについて検討した. 【結果】腫瘤中央部に多...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 49; no. 3; p. 220
Main Authors 中野聡子, 大塚正彦, 須沢由希子, 幸島孝志, 佐武利彦, 広原鐘一, 堀越衛, 栗原和直, 小笠原弘二, 吉田二教, 長谷川隆光, 工藤哲也, 坂田一美, 山本雅博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 1999
Online AccessGet full text
ISSN1343-2826

Cover

More Information
Summary:【目的】乳癌のMMGで腫瘤陰影に石灰化を伴うのは良く見かける所見である. 石灰化は乳管内癌の存在を意味することが多いが, 石灰化の存在は温存術を行う上でどのように取り扱ったら良いか, retrospectiveに検討した. 【対象と方法】1996.1から1998.10までに原発性乳癌で手術を行った腫瘤径3cm以下の症例のうちMMGで石灰化を有する16症例を対象とした. 石灰化数の多寡と, 石灰化と腫瘤の位置関係から5型に分類した. 乳房切除標本については1cm, 温存術標本については5mm間隔で病理学的に癌の広がりについて検索し, タイプ別に癌の広がりについて検討した. 【結果】腫瘤中央部に多数の石灰化を有するタイプでは癌は比較的限局しており, 腫瘤辺縁部に多数の石灰化を有するタイプでは広範な乳管内進展が認められた. 腫瘤内部から広範囲に石灰化を認める場合は広範な石灰化が示すごとく乳管内進展も広く認められた. 腫瘤中央部または, 辺縁部に少数の石灰化を有する場合は一定の傾向は認められなかった. 【考察】腫瘤からその周囲に広がる石灰化は広範な乳管内進展を示しており, 通常の温存手術の適応にはならない. 腫瘤の辺縁部に多数の石灰化がある場合には, 乳管内進展傾向が強く温存手術の際には注意を要する. 石灰化の数が少ない場合には癌の広がりに一定の傾向がなくMMG以外の検査所見を含めて検討するのが良い.
ISSN:1343-2826