12. ヒト末梢Tリンパ球におけるIL-2放出とcAMPの上昇に与えるカンジダ抗原の影響

【目的】気管支喘息の基本病態は気道の慢性炎症と定義され, Tリンパ球(特にTh2細胞)からのサイトカインが重要な役割を果たしている. カンジダは健常人・喘息患者を問わず高率に遅延型皮内反応が陽性となるにも拘わらず, ハウスダストなどに比し喘息の原因抗原となることは少ない. Interleukin(IL)-2は活性化されたThl細胞より放出され, 細胞内cAMPの上昇によりその放出は抑制されることが報告されている. 私達は, 末梢血Tリンパ球をカンジダ抗原とβ刺激剤により刺激し1レ2の放出および細胞内cAMPの上昇を検討した. 【対象および方法】正常者, カンジダRAST(+)喘息患者, カンジ...

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Published inThe KITAKANTO Medical Journal Vol. 48; no. 5; p. 413
Main Authors 藍原正幸, 堀江健夫, 飯塚邦彦, 土橋邦生, 森昌朋, 中澤次夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 1998
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Summary:【目的】気管支喘息の基本病態は気道の慢性炎症と定義され, Tリンパ球(特にTh2細胞)からのサイトカインが重要な役割を果たしている. カンジダは健常人・喘息患者を問わず高率に遅延型皮内反応が陽性となるにも拘わらず, ハウスダストなどに比し喘息の原因抗原となることは少ない. Interleukin(IL)-2は活性化されたThl細胞より放出され, 細胞内cAMPの上昇によりその放出は抑制されることが報告されている. 私達は, 末梢血Tリンパ球をカンジダ抗原とβ刺激剤により刺激し1レ2の放出および細胞内cAMPの上昇を検討した. 【対象および方法】正常者, カンジダRAST(+)喘息患者, カンジダRAST(+)健常者の末梢血より比重遠心法により得られた単核球分画をナイロンウールカラムを通しTリンパ球に精製し, カンジダ抗原(10μg/mL)とイソプロテレノール(Iso)を10-8~10-5M添加し(1)24時間培養した上清中のIL-2(2)5分後の細胞内cAMPをELISAにより測定した. 【結果】(1)カンジダRAST(+)喘息患者ではカンジダ刺激によりIL-2産生は認められず, Isoにより細胞内 cAMPの上昇が認められた. (2)正常者およびカンジダ RAST(+)健常者ではカンジダ刺激によりIL-2の産生増加を認めたが, Isoによる抑制と細胞内cAMPの上昇は誘導されなかった. 【考案】ヒト末梢血Th1リンパ球には, カンジダ抗原刺激に際して, β受容体刺激による細胞内cAMP上昇を抑制しそのIL-2の産生抑制作用を阻害することでTh1 依存性細胞性免疫能を維持するメカニズムが存在している可能性が示唆された.
ISSN:1343-2826