6. 骨盤内巨大脂肪肉腫の1例

74歳男性, 下痢, 下腹部圧迫感を主訴に近医受診. 骨盤内に小児頭大の腫瘍を認め, 3月6日当科入院, 諸検査の結果, 骨盤内後腹膜腔に膀胱と直腸を左方に強く圧排する境界明瞭な腫瘍を認め, 造影の早い間葉系腫瘍を疑ったが診断がつかず, 3月25日生検目的の試験開腹, 4月15日摘出術を行った. 腫瘍は非常に緊満した嚢胞様で, 周囲との癒着が非常に強く易出血性であった. 摘出は偽被膜の内側で行った. 大きさは20×15cm, 重さは710gであり, 肉眼的には灰白色と乳白色の部分が混在し, 嚢胞様の部分は出血であった. 組織学的には長紡鐘形の腫瘍細胞が膠原繊維を伴って交錯して増殖し, 中に多核...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 47; no. 5; p. 370
Main Authors 曲友弘, 羽鳥基明, 森田崇弘, 増田広, 鈴木和浩, 黒川公平, 林雅道, 山中英寿, 鈴木慶二, 平山順朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 1997
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Summary:74歳男性, 下痢, 下腹部圧迫感を主訴に近医受診. 骨盤内に小児頭大の腫瘍を認め, 3月6日当科入院, 諸検査の結果, 骨盤内後腹膜腔に膀胱と直腸を左方に強く圧排する境界明瞭な腫瘍を認め, 造影の早い間葉系腫瘍を疑ったが診断がつかず, 3月25日生検目的の試験開腹, 4月15日摘出術を行った. 腫瘍は非常に緊満した嚢胞様で, 周囲との癒着が非常に強く易出血性であった. 摘出は偽被膜の内側で行った. 大きさは20×15cm, 重さは710gであり, 肉眼的には灰白色と乳白色の部分が混在し, 嚢胞様の部分は出血であった. 組織学的には長紡鐘形の腫瘍細胞が膠原繊維を伴って交錯して増殖し, 中に多核細胞や脂肪芽細胞を認め, 脂肪肉腫の多形細胞型と診断した. 術後回復は順調で, 現在局所への照射を施行中である.
ISSN:1343-2826