8.乳頭異常分泌症例の画像所見と組織像との比較-乳管造影, 乳管内視鏡, 超音波検査を用いて

乳頭異常分泌症例に対しては, 従来細胞診, 腫瘍マーカーの測定, 乳管造影(以下DG)が行われてきたが, 感度, 正診率の点で限界があった. 乳管内視鏡(以下DS)の導入に伴い, 乳管内病変に直接アプローチできるようになり, 壁表層の病変を含めた位置の確認, 肉眼形態の観察が可能になった. より正確な肉眼診断は今後の乳管内病変の診断, 治療指針に重要であると考え, 肉眼形態を従来の画像所見を含めて, 組織所見と比較検討を行った. 【対象】症例は当院において96年3月から96年10月に血性乳頭異常分泌に対してDG, DS, さらに生検(dochectomy)を行った7症例を対象とした. 【結果】...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 47; no. 3; p. 183
Main Authors 中野聡子, 大塚正彦, 梅沢久輝, 佐武利彦, 原章彦, 山寺仁, 羽賀直樹, 鈴木克行, 栗原和直, 長谷川隆光, 工藤哲也, 坂田一美, 山本雅博, 村木和子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 1997
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Summary:乳頭異常分泌症例に対しては, 従来細胞診, 腫瘍マーカーの測定, 乳管造影(以下DG)が行われてきたが, 感度, 正診率の点で限界があった. 乳管内視鏡(以下DS)の導入に伴い, 乳管内病変に直接アプローチできるようになり, 壁表層の病変を含めた位置の確認, 肉眼形態の観察が可能になった. より正確な肉眼診断は今後の乳管内病変の診断, 治療指針に重要であると考え, 肉眼形態を従来の画像所見を含めて, 組織所見と比較検討を行った. 【対象】症例は当院において96年3月から96年10月に血性乳頭異常分泌に対してDG, DS, さらに生検(dochectomy)を行った7症例を対象とした. 【結果】症例内訳は乳管内乳頭腫(以下IDP), 乳腺症(Mp), 乳管内癌(Ca)1例であった. USでは乳管拡張と指摘されたのが4例, 腫瘤陰影としてとらえられたのが2例であった. 2cmより末梢に腫瘤があった2例は腫瘤陰影は指摘できなかった. DGでは, 単発腫瘤3例, 連続病変1例, 断続的に複数病変が重なるもの1例であった. 表面性状は平滑4例, 顆粒状1例, 不明2例で, 表面の性状で良悪性の診断は難しいと思われた. DSではIDPは表面平滑で球状半球状が多いが, 顆粒状表面も認められた. 色調はIDPでは通常の乳管と同色であることが多いが, 暗赤色, 黄色も認められた. Ca1例は黄色であった. 【結語】USは乳頭近くの乳管内病変には有用であるが, 末梢に関しては不充分であった. また, 質的診断には限界があった. 乳管造影は表面の性状の把握が困難であるが, 病変の広がりや多発病変を知るうえで重要な検査であった. IDPの肉眼所見は形状, 色調ともに多彩であった. Caの1例は黄色調で多発していた. 形状は結節状と舌状が混在していられた.
ISSN:1343-2826