4.粘液の貯留を伴った稀な若年性線維腺腫(Juvenile Fibroadenoma)の1例

症例は12歳の女子中学生で左乳腺の腫瘤を主訴に来院した. 触診, マンモグラフィー, エコー, 穿刺吸引細胞診などから粘液の貯留を伴つ乳腺の腺腫, 線維腺腫, 葉状腫瘍あるいは, 年齢的に可能性は低いが粘液癌も疑い局所麻酔下に摘出生検を施行した. 摘出した腫瘍は薄い被膜を有し弾性軟であった. 割面は白色充実性であったが牽糸性のある淡黄色半透明ゼリー状の粘液を貯留した樹枝状, 裂隙状の嚢胞が見られた. 大きさは5.0×4.0×3.5cmであった. 病理組織学的には間質性粘液変性を伴う若年性線維腺腫と診断された. 若年性線維腺腫は通常の線維腺腫に比べ上皮の過形成を伴い, 急速な増大を示し巨大腫瘤に...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 47; no. 3; p. 182
Main Authors 高井良樹, 佐藤尚文, 荒川和久, 草別智行, 綿貫啓, 長谷川紳治, 三島敬明, 飯島耕作, 本間学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 1997
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Summary:症例は12歳の女子中学生で左乳腺の腫瘤を主訴に来院した. 触診, マンモグラフィー, エコー, 穿刺吸引細胞診などから粘液の貯留を伴つ乳腺の腺腫, 線維腺腫, 葉状腫瘍あるいは, 年齢的に可能性は低いが粘液癌も疑い局所麻酔下に摘出生検を施行した. 摘出した腫瘍は薄い被膜を有し弾性軟であった. 割面は白色充実性であったが牽糸性のある淡黄色半透明ゼリー状の粘液を貯留した樹枝状, 裂隙状の嚢胞が見られた. 大きさは5.0×4.0×3.5cmであった. 病理組織学的には間質性粘液変性を伴う若年性線維腺腫と診断された. 若年性線維腺腫は通常の線維腺腫に比べ上皮の過形成を伴い, 急速な増大を示し巨大腫瘤になることが多く, 10~20代の若年者を中心に発症するが, 思春期, 特に初潮後1~3年以内に発生しやすい. 本邦報告例の検討では, 年齢は12歳から39歳であり自験例は最年少症例の1つであり, 粘液貯留を認めた症例は自験例以外にはなかった.
ISSN:1343-2826