6. 転移性骨腫瘍として紹介されたspondylodiscitisの1例

症例は71歳の男性で, 昭和63年より前立腺肥大症にて某院に通院していた. 平成7年6月尿閉のため同院に入院した. 諸検査からは前立腺癌が疑われたが, 前立腺生検の結果はno malignancyだった. 生検術施行後より発熱が続いていたが, 7月20日高熱および四肢麻痺が出現した. 頸椎転移性骨腫瘍が疑われ, 7月24日放射線治療目的で当科に入院した. 臨床経過や画像所見から腫瘍を否定できず, すでに四肢麻痺が出現しており緊急性を要すると考え放射線治療を施行した. 炎症が認められたため同時に抗生物質の投与も行った. その後の画像所見からspondylodiscitisと診断し照射は中止した....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 47; no. 2; p. 123
Main Authors 野中哲生, 杉山純夫, 仲本宗健, 鈴木良彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 1997
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は71歳の男性で, 昭和63年より前立腺肥大症にて某院に通院していた. 平成7年6月尿閉のため同院に入院した. 諸検査からは前立腺癌が疑われたが, 前立腺生検の結果はno malignancyだった. 生検術施行後より発熱が続いていたが, 7月20日高熱および四肢麻痺が出現した. 頸椎転移性骨腫瘍が疑われ, 7月24日放射線治療目的で当科に入院した. 臨床経過や画像所見から腫瘍を否定できず, すでに四肢麻痺が出現しており緊急性を要すると考え放射線治療を施行した. 炎症が認められたため同時に抗生物質の投与も行った. その後の画像所見からspondylodiscitisと診断し照射は中止した. 手術適応時期を過ぎていたため, 対症的に抗生物質, ステロイドを投与した. 炎症は改善したが, 四肢麻痺の改善は認められなかった. 本症は突然発症することが多く, 早急に診断し適切な処置を施行しなければならない. 今回のように転移性骨腫瘍が疑われるケースでも, 経過や検査所見を見直す必要があると考えられた.
ISSN:1343-2826