9. 左膝関節の拘縮と二次的な右膝関節外方脱臼を併発した起立不能子牛の1例

「はじめに」新生子牛の関節疾患は, 先天性および後天性の原因により発生する. 外科的整復により一時的な歩行の回復が見られるが, その後の増体に伴って跛行が進行し予後不良となる事が多い. 今回, 両膝関節に異常が認められた子牛に対して外科的整復を行ったため, その治療経過と共に報告する. 「症例」症例はホルスタイン種雌子牛の1ヵ月齢で, 来院時の体重は42kgであった. 出生時より左膝関節の拘縮が見られたものの自力で起立をしていたが, 2週齢程で右後肢を脱臼し, その後起立不能となったため北里大学附属動物病院に来院した. 「症状および経過」来院時の所見は, 体温39.4℃, 心拍数80回/分,...

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Published in日本家畜臨床学会誌 Vol. 30; no. 3; pp. 98 - 99
Main Authors 木村真理子, 安藤貴朗, 大塚浩通, 渡辺大作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家畜臨床学会 2007
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ISSN1346-8464

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Summary:「はじめに」新生子牛の関節疾患は, 先天性および後天性の原因により発生する. 外科的整復により一時的な歩行の回復が見られるが, その後の増体に伴って跛行が進行し予後不良となる事が多い. 今回, 両膝関節に異常が認められた子牛に対して外科的整復を行ったため, その治療経過と共に報告する. 「症例」症例はホルスタイン種雌子牛の1ヵ月齢で, 来院時の体重は42kgであった. 出生時より左膝関節の拘縮が見られたものの自力で起立をしていたが, 2週齢程で右後肢を脱臼し, その後起立不能となったため北里大学附属動物病院に来院した. 「症状および経過」来院時の所見は, 体温39.4℃, 心拍数80回/分, 呼吸数52回/分, 左後肢は屈曲した状態から伸展できず, 触診により拘縮した膝蓋靭帯とやや内側上方に移動した膝蓋骨を確認した. また, 右後肢の屈伸は可能だったが, 膝蓋骨は外側に変位していた. 前肢は正常に屈伸するものの, 脱力して起立は困難であった. 両膝関節以外に異常は認められず, 哺乳力は強く活気があった.
ISSN:1346-8464