産業医学と喫煙対策

「要旨:」「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」に沿って, 諸外国では包括的な喫煙対策が進められている. 一方, わが国では職場の受動喫煙防止対策さえ十分には達成されていない. 労働安全衛生法の一部を改正し, 安全配慮義務という観点から受動喫煙防止対策を義務化する法律の改正案は, 2012年11月16日の衆議院の解散により廃案となったことから見送られた状況となっており, 一刻も早い国会への再提案が望まれる. 本稿では, 企業が自主的に判断して取り組むべき職域の喫煙対策について解説する. 「1. はじめに」喫煙による年間の超過死亡数は世界全体で600万人, それ以外に60万人が受動喫煙によ...

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Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 35; no. Special Issue; pp. 133 - 140
Main Author 大和浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 産業医科大学 01.10.2013
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ISSN0387-821X

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Summary:「要旨:」「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」に沿って, 諸外国では包括的な喫煙対策が進められている. 一方, わが国では職場の受動喫煙防止対策さえ十分には達成されていない. 労働安全衛生法の一部を改正し, 安全配慮義務という観点から受動喫煙防止対策を義務化する法律の改正案は, 2012年11月16日の衆議院の解散により廃案となったことから見送られた状況となっており, 一刻も早い国会への再提案が望まれる. 本稿では, 企業が自主的に判断して取り組むべき職域の喫煙対策について解説する. 「1. はじめに」喫煙による年間の超過死亡数は世界全体で600万人, それ以外に60万人が受動喫煙により死亡していると推定されている[1]. わが国では, 喫煙者本人の超過死亡が128,900人[2], 受動喫煙によるものは少なくとも6,800人と推定されており[3], 職域に限らず, 国家として喫煙対策を推進し, 喫煙率を低減させ, また, 受動喫煙を防止することは喫緊の課題である.
ISSN:0387-821X