3. 心不全に合併した心房粗細動に対する静注アミオダロンの効果の検討

心不全合併心房細動例に対しては, レートコントロールと洞調律回復が最適の治療となるが, 抗不整脈薬の使用による心機能抑制や催不整脈作用が生命予後の悪化を招く恐れがある. I群抗不整脈薬は使用すべきではないが, III群抗不整脈薬は少なくとも悪影響は与えないと解釈され, ESCのガイドラインでもアミオダロンが推奨されている. そこで, 当院における急性心不全に合併した心房粗細動に対して静注アミオダロンを使用した症例を後向きに調査し, その効果や予後を検討した. 対象は, 急性心不全に合併した心房粗細動症例で静注アミオダロンを使用した16例. 平均年齢は71歳で, 男性9例, 女性7例. NYHA...

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Published in山口医学 Vol. 60; no. 5; pp. 197 - 198
Main Authors 木村征靖, 小川宏, 分山隆敏, 岩見孝景, 波多野靖幸, 望月守, 安藤みゆき, 明石晋太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2011
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ISSN0513-1731

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Summary:心不全合併心房細動例に対しては, レートコントロールと洞調律回復が最適の治療となるが, 抗不整脈薬の使用による心機能抑制や催不整脈作用が生命予後の悪化を招く恐れがある. I群抗不整脈薬は使用すべきではないが, III群抗不整脈薬は少なくとも悪影響は与えないと解釈され, ESCのガイドラインでもアミオダロンが推奨されている. そこで, 当院における急性心不全に合併した心房粗細動に対して静注アミオダロンを使用した症例を後向きに調査し, その効果や予後を検討した. 対象は, 急性心不全に合併した心房粗細動症例で静注アミオダロンを使用した16例. 平均年齢は71歳で, 男性9例, 女性7例. NYHAはIII~IVで, 平均左室駆出率は32%. 基礎心疾患は, 虚血性心疾患11例, 拡張型心筋2例, 弁膜症2例, 肥大型心筋症1例. アミオダロン投与により洞調律へ回復した症例は10例(63%)で, すべての症例で投与翌日より速やかに徐拍化した. 副作用での中止は認めなかった. 心機能も改善がみられ, アミオダロン単独の効果ではないが, 少なくとも悪影響はないと考えられた. 静注アミオダロンは, 急性心不全に合併した心房粗細動に対して, 少なくとも心機能を悪化させることなく, 速やかに徐拍化することで, 心不全の改善に寄与することができた.
ISSN:0513-1731