6. 当科における口唇・口蓋裂一貫治療の取り組み-口腔諸機能と顎顔面形態の回復を主眼として

当科では, 口唇・口蓋裂に対して, 口唇, 外鼻形状, 言語, 咬合の3本柱を中心に一貫治療を組み立てている. 一次治療の重要性は言うまでもないが, 一次治療後の二次治療の最初の部分を重要な時期と考えており, 経験から, 空白となりがちな時期と感じている. この時期は言語を評価, 管理しながら顎顔面と歯の発育を評価していく時期であり, また, 下顎の発育が終了に近づく時期には, 言語機能や鼻咽腔閉鎖機能を評価しながら上顎の前後的位置の目標を決定する時期となる. この時期に見られる咬合治療と言語治療の間に起こるジレンマとして, 上顎拡大装置と咬合挙上板(PLP), そして口蓋残孔への対応等が問題...

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Published in山口医学 Vol. 60; no. 4; pp. 140 - 141
Main Authors 三島克章, 中野旬之, 梅田浩嗣, 松下明日香, 白石瑠里子, 上山吉哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2011
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ISSN0513-1731

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Summary:当科では, 口唇・口蓋裂に対して, 口唇, 外鼻形状, 言語, 咬合の3本柱を中心に一貫治療を組み立てている. 一次治療の重要性は言うまでもないが, 一次治療後の二次治療の最初の部分を重要な時期と考えており, 経験から, 空白となりがちな時期と感じている. この時期は言語を評価, 管理しながら顎顔面と歯の発育を評価していく時期であり, また, 下顎の発育が終了に近づく時期には, 言語機能や鼻咽腔閉鎖機能を評価しながら上顎の前後的位置の目標を決定する時期となる. この時期に見られる咬合治療と言語治療の間に起こるジレンマとして, 上顎拡大装置と咬合挙上板(PLP), そして口蓋残孔への対応等が問題となる. さらに, 上顎劣成長に対する骨延長等を計画する際に, 鼻咽腔閉鎖機能等の評価に基づいて上顎前方移動量をどのように設定するかといった問題点がみられる. これらの問題点をうまく改善していくとが, 口唇・口蓋裂治療の3本柱をバランスよく, 特に咬合と言語機能を高いレベルでフィニッシュさせるために重要な課題と考える.
ISSN:0513-1731