NO.17 ラット持続痛と脊髄神経-グリア(MAPKs)相互作用の時系列的変調:薬理学的解析
【目的】持続的疼痛の脊髄分子機構は最近, 脊髄神経-グリア相互作用の変調が関与することが注目されている. そこでラット炎症性疼痛モデルを用い, 脊髄後角へのグリア活性阻害, MAPKs関連薬のpre-emptiveあるいは慢性投与による, 鎮痛効果の修飾作用より, 時系列的分子機構を調べた. 【方法】ラット腰髄くも膜下腔内にPE10カテーテルを埋め込み, Mustard oil(MO)の後肢皮下注入による炎症性疼痛モデルを作成した. MO注入後早期の, 後肢引っ込め動作および遅発性の熱性痛覚過敏(PWL)を評価した. これら疼痛反応に対する各種薬物の作用を比較した. 【結果・結論】MO注入前投...
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Published in | 山口医学 Vol. 59; no. 3; p. 145 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
山口大学医学会
2010
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ISSN | 0513-1731 |
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Summary: | 【目的】持続的疼痛の脊髄分子機構は最近, 脊髄神経-グリア相互作用の変調が関与することが注目されている. そこでラット炎症性疼痛モデルを用い, 脊髄後角へのグリア活性阻害, MAPKs関連薬のpre-emptiveあるいは慢性投与による, 鎮痛効果の修飾作用より, 時系列的分子機構を調べた. 【方法】ラット腰髄くも膜下腔内にPE10カテーテルを埋め込み, Mustard oil(MO)の後肢皮下注入による炎症性疼痛モデルを作成した. MO注入後早期の, 後肢引っ込め動作および遅発性の熱性痛覚過敏(PWL)を評価した. これら疼痛反応に対する各種薬物の作用を比較した. 【結果・結論】MO注入前投与COX-2, p38-MAPK, NF-kB, BDNF(trkB)阻害薬では, 引っ込め動作とPWLが中等度に抑制された(neuron, microglia優位)が, JNK-1阻害薬では変化は無かった. 一方, 慢性投与では, JNK-1阻害のみ有効であった(astrocyte優位). 阻害薬投与時期の違いより, 持続痛にはその可塑性に繋がる脊髄神経-グリア相互作用におけるMAPKs活性を伴う時系列的変調の関与が明らかとなった. |
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ISSN: | 0513-1731 |