NO.16 慢性疼痛状態における痛覚閾値の変化に関する検討

【目的】過度のストレスや慢性疼痛では, しばしば気分障害や外的刺激に対する感受性が変化するとされるが, その機構は不明な点が多い. そこで, ラット慢性疼痛(CCI)モデルにおいて, 慢性状態でうつ様や情動性行動をあわせ, 侵害受容に対する反応を調べた. 【方法】SDラットを用い, CCIモデルを作製した. CCI後, 経日的に左右後肢への熱刺激に対する反応潜時の差(PWL)を測定し, 痛覚過敏を評価した. 慢性期に強制水泳試験とopen field tes(OFT)を施行し, うつ様, 情動行動を評価した. さらに慢性期に炎症性疼痛をFormalin皮下注により誘導し, 自発痛(引っ込め動作...

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Published in山口医学 Vol. 59; no. 3; pp. 144 - 145
Main Authors 蓑田誠治, 安田聖子, 香川慶輝, 石川浩三, 佐々木宏典, 掛田嵩寛, 石川敏三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2010
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ISSN0513-1731

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Summary:【目的】過度のストレスや慢性疼痛では, しばしば気分障害や外的刺激に対する感受性が変化するとされるが, その機構は不明な点が多い. そこで, ラット慢性疼痛(CCI)モデルにおいて, 慢性状態でうつ様や情動性行動をあわせ, 侵害受容に対する反応を調べた. 【方法】SDラットを用い, CCIモデルを作製した. CCI後, 経日的に左右後肢への熱刺激に対する反応潜時の差(PWL)を測定し, 痛覚過敏を評価した. 慢性期に強制水泳試験とopen field tes(OFT)を施行し, うつ様, 情動行動を評価した. さらに慢性期に炎症性疼痛をFormalin皮下注により誘導し, 自発痛(引っ込め動作:Flinching)をカウントし, 非CCI群と比較した. 【結果と結論】CCI後PWL慢性疼痛状態を確認したのち, 強制水泳による不動時間の延長がみられ, OFTによる運動活性の増加と快行動の消失が起こり, Formalin誘発Flinching行動は非CCI群に比べ増加した. 以上からラット慢性疼痛状態ではうつ様行動および情動性異常を伴うこと, さらにこの気分障害は侵害受容に対する閾値低下をもたらすことが判明し, 臨床応用のモデルとして意義があると考えられる.
ISSN:0513-1731