2. 著明な多尿をきたした髄膜炎の1症例
50歳, 男性. 肺炎球菌による細菌性髄膜炎で他院にて治療中, 第10病日に尿量が1日5000mlを超えた. 二次性中枢性尿崩症と考えられ, バソプレシン(以下AVP)40単位/日投与されたが, 1日尿量30L以上となり, 当院ICUに搬送された. 1時間尿量700~1300mlと著明な多尿を呈していたが, 血清Nal35, K4.1, Cl107mmol/Lとほぼ正常で, 血清・尿浸透圧はそれぞれ272, 278mOsmol/kgH2Oであった. 胸水, 全身浮腫, 低酸素血症のため, 人工呼吸を開始した. AVPにDDAVPを併用した. その後の血漿ADH測定, 高張食塩水負荷試験等から中...
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Published in | 山口医学 Vol. 59; no. 1; p. 49 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
山口大学医学会
2010
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ISSN | 0513-1731 |
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Summary: | 50歳, 男性. 肺炎球菌による細菌性髄膜炎で他院にて治療中, 第10病日に尿量が1日5000mlを超えた. 二次性中枢性尿崩症と考えられ, バソプレシン(以下AVP)40単位/日投与されたが, 1日尿量30L以上となり, 当院ICUに搬送された. 1時間尿量700~1300mlと著明な多尿を呈していたが, 血清Nal35, K4.1, Cl107mmol/Lとほぼ正常で, 血清・尿浸透圧はそれぞれ272, 278mOsmol/kgH2Oであった. 胸水, 全身浮腫, 低酸素血症のため, 人工呼吸を開始した. AVPにDDAVPを併用した. その後の血漿ADH測定, 高張食塩水負荷試験等から中枢性尿崩症は否定的であった. 体水分量過剰と考えAVP, DDAVPを漸減した. 入室後10日間で体重が約12kg減少し, 胸水, 全身浮腫も改善した. 多尿症例では治療開始前の確定診断が重要であると再認識された. |
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ISSN: | 0513-1731 |