中村賞受賞者講演 低温・高温下におけるマイクログリアのサイトカインおよびNO産生動態

炎症性サイトカインや一酸化窒素(NO)は脳障害増悪に関与する. マイクログリアはこれらの細胞傷害性(炎症性)因子を介しニューロン傷害を引き起こす. よって, 脳保護を目的とする脳低温療法の一作用機序に, マイクログリアからの炎症性因子抑制の関与が考えられる. そこで, 本療法による脳保護作用機構を調べる目的で, 培養マイクログリアからのサイトカインとNO産生に低温・高温が及ぼす影響を調べた. その結果, 低温下ではマイクログリアからのIL-6, IL-10, NOが低値を示し, 脳低温療法による脳保護作用の一機序に, 炎症性因子抑制のみでなく, 抗炎症性因子抑制も関与する可能性が示唆された....

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Published in山口医学 Vol. 58; no. 6; pp. 274 - 275
Main Author 松井智浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2009
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Summary:炎症性サイトカインや一酸化窒素(NO)は脳障害増悪に関与する. マイクログリアはこれらの細胞傷害性(炎症性)因子を介しニューロン傷害を引き起こす. よって, 脳保護を目的とする脳低温療法の一作用機序に, マイクログリアからの炎症性因子抑制の関与が考えられる. そこで, 本療法による脳保護作用機構を調べる目的で, 培養マイクログリアからのサイトカインとNO産生に低温・高温が及ぼす影響を調べた. その結果, 低温下ではマイクログリアからのIL-6, IL-10, NOが低値を示し, 脳低温療法による脳保護作用の一機序に, 炎症性因子抑制のみでなく, 抗炎症性因子抑制も関与する可能性が示唆された. また高温下ではマイクログリアからのIL-10のみ増加した. このIL-10の温度依存性変化は, IL-10が低温下でのニューロン保護効果および高温下でのニューロン傷害増悪において, 病態把握のための重要なマーカーになりうることを示唆している.
ISSN:0513-1731