1. 2型糖尿病ラットの糖尿病性腎症に対する5-HT2A受容体拮抗薬の効果

【背景・目的】5-HT2A受容体の選択的拮抗薬である塩酸サルポグレラートは, 早期糖尿病性腎症におけるアルブミン尿減少効果などが報告されているがその機序には不明な所が多い. 今回我々は2型糖尿病ラットのOLETF ratに対し早期よりの塩酸サルポグレラート投与を行い, 抗蛋白尿効果を評価すると共に, 糸球体病理組織に与える影響を検討した. 【実験】OLETFラットに塩酸サルポグレラートの経口投与を16~38週齢の間行い, 体重, 血圧, 蓄尿蛋白量の測定を行った. 摘出した腎臓にはPAS染色およびP22phox等の免疫染色を行った. 【結果】体重などには有意差を認めなかったが蛋白尿の減少効果を...

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Published in山口医学 Vol. 58; no. 5; p. 239
Main Authors 高橋規文, 作村俊浩, 岡本匡史, 池上直慶, 松崎益徳, 梅本誠治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2009
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ISSN0513-1731

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Summary:【背景・目的】5-HT2A受容体の選択的拮抗薬である塩酸サルポグレラートは, 早期糖尿病性腎症におけるアルブミン尿減少効果などが報告されているがその機序には不明な所が多い. 今回我々は2型糖尿病ラットのOLETF ratに対し早期よりの塩酸サルポグレラート投与を行い, 抗蛋白尿効果を評価すると共に, 糸球体病理組織に与える影響を検討した. 【実験】OLETFラットに塩酸サルポグレラートの経口投与を16~38週齢の間行い, 体重, 血圧, 蓄尿蛋白量の測定を行った. 摘出した腎臓にはPAS染色およびP22phox等の免疫染色を行った. 【結果】体重などには有意差を認めなかったが蛋白尿の減少効果を認めた. 病理組織的には糸球体硬化の抑制を認めた. また, 免疫染色において塩酸サルポグレラート投与群で酸化ストレス系の発現低下を認めた. 【結語】塩酸サルポグレラートの早期よりの投与により, 抗蛋白尿作用および糸球体硬化抑制作用を示した. 機序として糸球体における酸化ストレスの産生系の抑制が示唆された.
ISSN:0513-1731