一般演題】NO. 7アストロサイトの分裂における脳型脂肪酸結合タンパク(FABP7)の関与

脳型脂肪酸結合タンパク(FABP7)はFABP分子ファミリーの1つで, 我々の研究から統合失調症など精神疾患との関連が明らかになっているが, その作用機構については未だ不明な点が多い. 今回我々は神経外傷過程におけるFABP7の局在と, 培養アストロサイトにおける表現型解析から, FABP7がアストロサイトの分裂制御に関わることを明らかにした. マウスの大脳皮質外傷モデルでは, FABP7が損傷部位周囲に著明な発現増強を示し, FABP7陽性細胞はGFAP(+)/BrdU(+)であった. FABP7ノックアウトマウス由来の培養アストロサイトでは, 野生型に比べてBrdU標識率およびH3チミジン...

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Published in山口医学 Vol. 58; no. 3; p. 125
Main Authors 森廣雄介, 安本有希, 徳田信子, 安達泰弘, 澤田知夫, 大和田祐二, 鈴木倫保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2009
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ISSN0513-1731

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Summary:脳型脂肪酸結合タンパク(FABP7)はFABP分子ファミリーの1つで, 我々の研究から統合失調症など精神疾患との関連が明らかになっているが, その作用機構については未だ不明な点が多い. 今回我々は神経外傷過程におけるFABP7の局在と, 培養アストロサイトにおける表現型解析から, FABP7がアストロサイトの分裂制御に関わることを明らかにした. マウスの大脳皮質外傷モデルでは, FABP7が損傷部位周囲に著明な発現増強を示し, FABP7陽性細胞はGFAP(+)/BrdU(+)であった. FABP7ノックアウトマウス由来の培養アストロサイトでは, 野生型に比べてBrdU標識率およびH3チミジンの取り込みが低下し, さらにn-3系脂肪酸の取り込みが野生型に比べ30%低下していることが明らかになった. B-FABPはアストロサイトの脂肪酸代謝制御を介して, 分裂・増殖に関与している可能性が示唆された.
ISSN:0513-1731