NO. 16 2型糖尿病の経過中に発症した劇症1型糖尿病の1例

症例は47歳男性. 2000年に高血糖を指摘されていたが放置. 2001年HbA1c 9.2%と高値のため近医を受診し, 2型糖尿病と診断され食事療法と運動療法を開始. HbA1cは5%台へ低下した. 2007年1月にHbA1c 8.4%と増悪したが, 塩酸メトホルミンの内服と食事療法の徹底にて6月にはHbA1c 7.4%と改善傾向であった. 同年7月上旬に頭痛, 悪寒が出現し, 4日後には, 意識障害をきたしたため近医を受診. 血糖683mg/dl, pH7.14, BE-19.4mEq/L, 血中ケトン体高値であり糖尿病性ケトアシドーシスと診断され, 補液と静脈内インスリン持続投与を開始さ...

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Published in山口医学 Vol. 57; no. 2/3; p. 66
Main Authors 松永仁恵, 竹田孔明, 鶴政俊, 江本政広, 谷澤幸生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2008
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ISSN0513-1731

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Summary:症例は47歳男性. 2000年に高血糖を指摘されていたが放置. 2001年HbA1c 9.2%と高値のため近医を受診し, 2型糖尿病と診断され食事療法と運動療法を開始. HbA1cは5%台へ低下した. 2007年1月にHbA1c 8.4%と増悪したが, 塩酸メトホルミンの内服と食事療法の徹底にて6月にはHbA1c 7.4%と改善傾向であった. 同年7月上旬に頭痛, 悪寒が出現し, 4日後には, 意識障害をきたしたため近医を受診. 血糖683mg/dl, pH7.14, BE-19.4mEq/L, 血中ケトン体高値であり糖尿病性ケトアシドーシスと診断され, 補液と静脈内インスリン持続投与を開始された. さらなる精査加療目的にて当院へ転院となった. 尿中CPR2.8μg/day, グルカゴン負荷試験で血中CPR前値, 6分値ともに0.1ng/ml以下と内因性インスリン分泌は枯渇していた. 抗GAD抗体, IA-2抗体, インスリン抗体は陰性であった. HLA genotypeはDRB1 0405-DQB1 0401, DRB1 0901-DQB1 0303であり1型糖尿病感受性ハプロタイプを有していた. その後, インスリン強化療法を行い, 血糖コントロールは良好である. 2型糖尿病の経過中に劇症1型糖尿病を発症した比較的稀な症例を経験したので報告する.
ISSN:0513-1731