NO. 7 肺炎球菌感染によるWaterhouse-Friderichsen症候群の剖検例
Waterhouse-Friderichsen症候群とは, 重症細菌感染による発熱, チアノーゼ, ショックを主症状とし, 両側副腎の出血性壊死をきたす疾患である. 本疾患の剖検例を経験したので報告する. 【症例】73歳 男性. 【既往歴】高血圧, 糖尿病. 【病歴および経過】平成19年12月11日, 40度の発熱があり, 腹痛などの症状はないが, 腹部膨満感はあった. 同日, 当院内科に入院した. 入院時の血液検査では白血球数(13,200/mm3)と, CRP(2.0mg/dl)の軽度上昇を認めた. 翌日未明より意識障害, チアノーゼが出現し, 呼吸状態が悪化, 人工呼吸器による管理を開始...
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Published in | 山口医学 Vol. 57; no. 2/3; p. 63 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
山口大学医学会
2008
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ISSN | 0513-1731 |
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Summary: | Waterhouse-Friderichsen症候群とは, 重症細菌感染による発熱, チアノーゼ, ショックを主症状とし, 両側副腎の出血性壊死をきたす疾患である. 本疾患の剖検例を経験したので報告する. 【症例】73歳 男性. 【既往歴】高血圧, 糖尿病. 【病歴および経過】平成19年12月11日, 40度の発熱があり, 腹痛などの症状はないが, 腹部膨満感はあった. 同日, 当院内科に入院した. 入院時の血液検査では白血球数(13,200/mm3)と, CRP(2.0mg/dl)の軽度上昇を認めた. 翌日未明より意識障害, チアノーゼが出現し, 呼吸状態が悪化, 人工呼吸器による管理を開始した. 汎血球減少, GOT, LDH, CPKの著明な上昇があり, DICを呈し, 全身状態が急激に悪化, 午前11時48分死亡確認した. 血液培養で肺炎球菌が多数検出された. 【剖検所見】副腎では, 肉眼的に両側の髄質から皮質にかけて出血を認め, 組織でも広範な出血と壊死を認めた. 脾臓は50gとやや低形成で, 内部に出血巣を認めた. 肺, 脾臓, 腎臓, 副腎に多数のグラム陽性球菌を認めたが好中球の集簇を認めなかった. 肺うっ血, 肝腫大・壊死など, DICを反映する変化も認めた. |
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ISSN: | 0513-1731 |