NO.11 雄ラット脳内におけるハンチントン病関連タンパク質Huntingtin-Associated Protein1(HAP1)とAndrogen Receptor(AR)の共存関係

【背景と目的】HAP1は, 神経細胞質内封入体であるstigmoid body(STB)の構成成分として知られ, 脳内において視床下部や辺縁系を中心に広く分布している. 最近になり, in vitroにおいてHAP1とARが相互作用することが明らかになった. 本研究では, in vivoにおける両者の共存関係を明らかにすることを目的とした. 【材料と方法】成獣Wistar系雄ラットを用いて, 免疫組織化学法により検討した. 【結果】ARは神経細胞の核に局在し, HAP1は細胞質にdiffuseに発現すると共にSTBに強く局在していた. 二重染色の結果, 扁桃体, 分界条床核, 視床下部, 中脳...

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Published in山口医学 Vol. 55; no. 2/3; p. 96
Main Authors 藤永竜太郎, 竹下幸男, 吉田久美子, 趙長久, 國分啓司, 柳井章江, 篠田晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2006
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ISSN0513-1731

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Summary:【背景と目的】HAP1は, 神経細胞質内封入体であるstigmoid body(STB)の構成成分として知られ, 脳内において視床下部や辺縁系を中心に広く分布している. 最近になり, in vitroにおいてHAP1とARが相互作用することが明らかになった. 本研究では, in vivoにおける両者の共存関係を明らかにすることを目的とした. 【材料と方法】成獣Wistar系雄ラットを用いて, 免疫組織化学法により検討した. 【結果】ARは神経細胞の核に局在し, HAP1は細胞質にdiffuseに発現すると共にSTBに強く局在していた. 二重染色の結果, 扁桃体, 分界条床核, 視床下部, 中脳中心灰白質, 青斑核及び孤束核などに共存細胞が多数見出され, 大脳皮質, 海馬, 下位脳幹運動核などではARは発現しているもののHAP1/STBの発現が観察されない領域も見られた. 【考察】脳内において, HAP1/STBとARは生殖行動を中心とする情動系の制御に関係する領域において特に密接な機能関連があり, 一方で, 大脳新皮質や海馬を中心とする高次機能や運動制御系においては両者の相互関連は少ないことが考えられた.
ISSN:0513-1731