3.TTP/HUSの一例

【症例】39歳, 男性. 【現病歴】生来健康. 平成16年10/22に上気道症状と発熱あり, 近医で抗生剤と解熱剤を処方された. 症状改善せず, 10/26に他院を受診したところ, 血小板減少(6.7万/μl)および腎障害(Cre10.8mg/dl)を指摘され, 10/27に美祢市立病院を紹介受診. 紫斑出現と血小板減少の進行があり, 当科に緊急入院となった. 【入院時所見と経過】意識清明, 結膜は軽度黄染, 両足部に紫斑と上肢に点状出血あり. 急性腎不全, 血小板減少(1.8万/μl)に加え, 溶血所見(破砕赤血球, Bil, LDH高値), 発熱を認めた. TTPと診断し, 血漿交換療法(...

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Published in山口医学 Vol. 55; no. 1; p. 48
Main Authors 高橋徹, 柏村陽子, 鶴政俊, 野見山淳, 湯尻俊昭, 谷澤幸生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2006
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ISSN0513-1731

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Summary:【症例】39歳, 男性. 【現病歴】生来健康. 平成16年10/22に上気道症状と発熱あり, 近医で抗生剤と解熱剤を処方された. 症状改善せず, 10/26に他院を受診したところ, 血小板減少(6.7万/μl)および腎障害(Cre10.8mg/dl)を指摘され, 10/27に美祢市立病院を紹介受診. 紫斑出現と血小板減少の進行があり, 当科に緊急入院となった. 【入院時所見と経過】意識清明, 結膜は軽度黄染, 両足部に紫斑と上肢に点状出血あり. 急性腎不全, 血小板減少(1.8万/μl)に加え, 溶血所見(破砕赤血球, Bil, LDH高値), 発熱を認めた. TTPと診断し, 血漿交換療法(PE)とステロイド療法を開始した. 翌日より溶血所見と血小板数は改善を示し, 第4病日に血小板数は正常化した. PE中止後も再燃なく極めて治療反応性が良いため, ステロイドも早期に減量し, 第24病日には退院となった. 経過中, 透析は不要であった. vVWマルチマー解析は正常パターンであった. 【考察】臨床症状からはTTPとHUSはほぼ鑑別不能であり, vVW-CP活性低下の有無が鑑別に有用と考えられている. 本例は, (1)vVW-CP活性の低下がない, (2)上気道症状を契機に発症した, (3)極めて速やかに改善した, ことからHUSとも考えられる症例であった.
ISSN:0513-1731